チャゴス判決に関して先月末に神戸大学玉田大教授の論考が出ていた。
玉田大。「チャゴス諸島分離の法的帰結」判例時評(法律時報)。 2019.06.28
「大国の横暴に翻弄された小国を助ける、という判官贔屓の構図が最初から出来上がっていたと言えよう。」
これに惑わされているのが虎ノ門ニュースの武田氏である。専門部野外なのだから多少は控えめにコメントしても良いと思うが、まさに判官贔屓そのままでゲンナリしてしまう。
そして重要なのが下記の箇所である。玉田先生も誤解している。モーリシャス政府は米軍付きのチャゴスが欲しいのだ。政治的、経済的利益のために。。。
「第2に、(仮に英国に返還意思があったとしても)米軍が駐留している限り、チャゴス返還は実現困難である。総会決議(②)は、全国連加盟国(米国を含む)に対して、チャゴス諸島返還の「妨害又は遅延」行為を控えることを求めているため、米軍基地の存続はこの要請に反する。ただし、総会決議には法的拘束力がなく、また、現実問題として、米国がディアゴ・ガルシア基地を放棄すると考えるのは、楽観的過ぎるであろう。」
下記がモーリシャス政府の見解だ。
Since the first Gulf War in 1991, succes- sive Mauritian governments have stated that Mauritius would continue to accommodate the US military base on Diego Garcia, seeing it as a potential source of political and economic benefits. In an interview with BBC world news shortly after the advisory opinion was handed down, the Mauritian prime minister, Pravind Jugnauth, reiterated that Mauritius ‘recognizes the existence of the military base and accepts its future operation in accordance with international law’.
(LAURA JEFFERY. "The International Court of Justice: Advisory Opinion on the Chagos Archipelago". 02 June 2019. 雑誌名後で。)
玉田教授は最後に、この問題の重要な点は強制移住させられたチャゴス島の人々であることが指摘されている。小島嶼国を知る自分にしていれば、モーリシャス政府がその離島となるチャゴス島を、そしてその人々をしっかり面倒みることができるとは到底思えないのである。そして湾岸危機にも重要な軍事基地であったディエゴガルシアは、中東の天然資源に大きく依存している日本の問題でもあるのだ。すなわち、チャゴス島の人々の福祉、教育、幸福について、これこそホルムズ海峡ではないが「有志連合」を結成し、支援体制を作るべきであろう。