やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

IWCを変容させた米国動物愛護団体

「UNLCOS65条の適切な国際組織、あれ複数にしたの日本ですよね。」
「そのはずだけど。」
 知り合いのジャーナリストから連絡があった。以前ざっと読んでメモした動物愛護団体の幹部パトリシア・フォルカン女史のペーパーを再度読んだ。
 UNCLOS65条こそがIWCの捕鯨資源管理を鯨保護に変えた条項なのだ。日本がいかにこれに抵抗したかわかるし、70年代から米国の、というかこの動物愛護団体の姿勢は一貫している。鯨を犬のように愛護せよ、という姿勢だ。
 この動きを主導したパトリシア・フォルカンは何者か?
 彼女が会長まで勤めた組織を検索してもその名前は出てこない。
 フォルカンは70年代初めから40年前後捕鯨問題に関与している。鯨だけではないであろう。オバマ政権での動物の権利を担当しているからかなりの影響力を持った人、のはずだ。
 彼女のIWCへの関与を記録した書類のリストを見つけた。

 米国の一人の女性が、多分30代からIWCやUNCLOS65条を40年近く動かしてきたのだ。そして多分彼女は国際法や水産科学の専門家ではない。勘だけど。文章を読むと理論性が全く感じられないのだ。活動家としての感情だけしか感じない。それで世界は動くのだ。
 この動物愛護団体の政治的な影響力を知りたい。米国政府がかわそうとした枯葉剤問題と何か関係あるのか?年間200億円弱の寄付がある組織だ。そして動物愛護といばナチスの優生学思想、イデオロギーである。