やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

西平等『法と力』読書メモ

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「先生、国際法知らないでしょ。」

 喉まで出てきた言葉だが相手は10歳年下で、国際法が専門でもないが、京大の教授である。しかもその言葉を私が吐いたところで、私が国際法とは何かを理解しているかどうか自分自身疑わしいし、そもそも説明なんかできない!

 以前手にとって難しくて10ページほどでギブアップした西平等著『法と力』を再度借りた。今度は序章、1、2章はポンポンと面白く読めたのだが、3章で急に理解力が落ちたのか難しくなったのか。。。 他にも読まなきゃならない資料が山積みなので一旦返却することとした。

 この本は著者の博士論文のようである。(やはり10歳年下)ちゃんと購入して線を引きながらじっくり読みたい本だ。迷っている。

 私は修士を3つ持っているが2つ目が国際政治(渡辺昭夫先生にご指導いただきました)。現在の研究テーマである太平洋島嶼国の海洋ガバナンスを国際法だけで議論する限界を感じているので、1つ目の博論の開発学と国際政治学を、国際法の議論の中にどのように編み込めるか、ボワっと考えている最中でもある。なのでこの本はとても魅力的、なのだ。

 (追記:国際政治学が、戦間期の国際法(ヨーロッパ公法、ヨーロッパの共通概念、秩序のことだと思うが)の限界の中から生まれてきた、というとでこの本はモーゲンソーを中心に、カーを最後の章で扱っている。今回この4、5章までは辿れなかった。)

 

「先生、国際法知らないでしょ。」

 喉まで出てきた言葉を飲み込みながら思い出したもう一冊がカール・シュミットの「大地のノモス」。ここにヨーロッパ公法から国際法へ変化する議論やヴェルサイユ条約や戦争犯罪に関する興味深い文章があったのだが思い出せなかった。

 

『法と力』。次回3度目の挑戦の時はメモを書きながらまとめたい。

 序章

1 国際法思想史への視角

2 戦間期の国際法論をいかに理解するか

3 国際法学と国際政治学

4 本書の構成

 

第1章 国際政治学的思考の特徴 ー 勢力関係の動態的把握について

はじめに

1 国益

2 勢力均衡

3 勢力関係の表現としての法

おわりに

 

第2章 国際法懐疑論によって提起された問題 ー ラッソンによる勢力関係の動態的把握

はじめに

1 「国際法否定論者」

2 ラッソンの国際法懐疑論

3 精力的関係の動態的把握

補講 ラッソンにおける国際秩序構想の類型化

 

第3章 事情変更原則という視座 ー エリヒ・カウフマンによる動態的国際法構想