やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島が沈んでもEEZは残る?

 この話は結構以前から国際法、まさに海洋法の分野で議論されていて気になっていた。マーシャル諸島政府は既に公式に宣言しているのを、政府レポートで読んだ記憶もある。しっかり調べていない。調べなければならない分野だが。

 海面上昇で沈みそうな島、もしくは既に沈んだ島・沿岸が浸食された島を抱える太平洋島嶼国。小さな島が一つあるだけでそ200カイリの広大な海域が管轄できる権利を持つ。そうEEZ。

 島が例え沈んでもEEZは確保できるという新たな国際法の解釈を太平洋島嶼国主導で動いているのだ。

 今年の2月にシドニーで大きな会議があって一歩前進した話を、これはオーストラリアの法学者からニューカレドニアの会議で聞いた。分厚報告書があったがまだ読んでいない。

 これこそ、山本草二先生の「海洋法」の本に出て来る究極の「開発イデオロギー」「天然資源イデオロギー」ではないか?即ち「新国際経済秩序のイデオロギー」ではないか?

 気持ちはわかる。でも沈んでしまった島のEEZだけでなく、そもそもEEZの資源を小さな島が管理していた歴史もないし、海洋法制定後、また島嶼国独立後、さんざん援助をうけながらも自ら開発も管理もした経験がないのだ。

 この「島が沈んでもEEZは残る」事になれば何がおこるのか?今でさえ、中国の海洋進出が汚職体質の島嶼国政治と手を結び好き放題しているのである。

 

 日本にもなくなっている島や沿岸があるようだが、ご丁寧な事に海保がわざわざ測定し直して日本の領海やEEZを狭めようとしているニュースをどこがで読んだ記憶がある。測定してもいいんだが、ニュースに出すのは止めましょう。もしくは太平洋島嶼国と組んで中国の手に落ちる前に「島が沈んでもEEZは残る」政策を共に押進めるのならいいよ。