やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋の事を知らない外務省大洋州課の罪

日本で一番太平洋のことを、歴史を知らない外務省の国家損益活動である。
ひどい、あまりにも酷すぎる。
先日大洋州課にあったがこの30年で最も劣化している。人数は増えたが中身がゼロ、どころかマイナスである。下記のシドニー・モーニングへラルド記事。外務省の招聘らしいが、あまりにも酷い。
 
まずパプアニューギニアでの日本自衛隊による音楽指導である。これが戦争中の日本帝国軍隊に対するイメージと違う、という印象をこの記者(多分豪州人)が持った事に関し、外務省大洋州課は、パプアニューギニアの独立精神を支えたのは1942年にウェワクに上陸した柴田幸雄中尉である事を伝えるべきである。一体パプアニューギニアの国父マイケル・ソマレ閣下が自伝にわざわざ書いてくれたのになぜ外交に使わないのか?多分その本の存在さえ知らないのであろう。戦後、笹川良一が独立運動を支えたがパプアニューギニアに900もの言語ある事も何も知らなかったので私の評価は半々。
 
2。中国に対する見方である。日本は米国同様中国に40年間3兆円を超える支援をしてきた。その事を外務省大洋州課をはっきり伝えるべきだった。中国の太平洋島嶼国への進出を支援して来た側面もある。問題はオーストラリア、ニュージーランドの対太平洋島嶼国支援だ。彼らがヘタレだから中国が入ってきたのだ。そのことを外務省としては言えないであろうが、ヤンワリ伝えるべきだ。日本の援助は中国に敵対というよりその方向を修正して欲しい、という願いが日米にはある。無理だと思うが。
 
3。日本のバイの援助資金しか資料として出していないが、日本はアジ銀、世銀などマルチ機関を通して大きなインフラ支援をしている。そのことを外務省大洋州課が説明できていない。
 
4。武蔵の大学のDonna Weeks教授が日本の援助や太平洋島嶼国支援の何を知っているのか?それよりも4月に河野防衛大臣が主催する太平洋島嶼国と米英豪仏NZを招いた会議に一切触れず、防衛省へのインタビューがないとは何事か。
 
5。太平洋の安全保障とは日米同盟なのである。更に言えば豪州、フランスの安全保障である。そのことを外務省大洋州課は一切理解していない。日本の国益だけではないのだ。
 
実は外務省大洋州課の島班長というのに最近会って、何も理解してないどころか、自分がわかっていないことがわかっていない、最低のレベルである事に驚愕している。しかし彼は後からメールを送ってきて教えて欲しい、と書いてあったので、教えてあげようと思っている。
 
外務省は国連海洋法条約さえ理解せずに太平洋島嶼国支援しているのだ。パラオのOur Oceanという会議である。国賊レベルである。