以前メモした矢内原忠雄先生の『植民政策より見たる委任統治制度』。
矢内原全集第4巻(170ー195頁、岩波書店、1963年)出版されたのは昭和12年7月「国家学会50周年記念国家学会論集」
以前書いた読書メモ
国際法の観点から気になる箇所があったので、忘れないように書いておきたい。
上記全集の176頁に委任統治の主権の問題が書かれている。
国際条約と言っても、妥協や、矛盾をたくさん抱えているのだが、委任統治について書かれた連盟規約22条は、「法律家ならざる実際政治家」のスマッツ将軍とラウンド・テーブル(チャタムハウスの起源)の主筆フィリップ・カーが起草したものである、という。さらに法律専門家の校閲すら経ていない、と。
それは委任統治制度が併合主義と非併合主義との相対立する要求を包容した「妥協的産物」で、もし法律的明確を維持しようとしたら規約そのものが成立しなかった、と言われている。
矢内原の委任統治問題に関する記述はこの論文と「南洋委任統治論」(1933年6月、中央公論、546号。矢内原全集第5巻、論文(下)128ー146)。
そして矢内原全集第三巻に収められている「南洋群島の研究」の第4節委任統治(399ー406頁)にも書かれている。これはこれから読みたい。