こんな私の読書メモなんか誰も読まないだろう。それにしても田岡博士は偉大だ。なんで博士の委任統治論を今まで誰も教えてくれなかったのだろう?太平洋島嶼国の誕生に重要な議論である。
と思っていたら結構な反応があって、後編も期待している、若い人に読んで欲しいから読書メモをとの、多分国際法の専門家からコメントをいただいた。
ひとりで粛々と書く意義も感じている。後で確認できるからだ。しかし誰かに評価されたり期待されるのも嬉しいし、良い意味で緊張する。
ー 読書メモ1 ー
さてさて、『委任統治の本質』(後編)は以下の6節からなり、結論がなぜかえ?と思うレベルなのだ。
第一節 概説
第二節 国際連盟主権説
第三節 委任地域主権説
第四節 主要強国主権説
第五節 獨逸主権説(松岡と海軍はこれを勝手にとった)
第六節 受任国主権説
結論は、どうも当時の軍部に向けて書いたような、政治メッセージを感じる。半年後には真珠湾攻撃を迎える1941年6月にこの本は発行されている。日本は南洋群島をきちんと管理し高く評価され、領有権も主権もある、ここは書いていないが「戦争をする必要はない、ドイツから譲渡してもらう必要はない」と松岡外相と海軍に訴えているように思えた。
といっても2〜6節はまだ読んでないのだが。
概説には主権について述べられているがそれ以外にも
「法学的訓練の有る人である限りは、条約解釈の問題は専ら当事者の意思の解釈の問題であり、当事者が如何なる制度を作らんとする意思であったかを探求する問題であることを知っている。」
つまり条約の成立史は重要なのだ。国連海洋法条約の島の制度121条3項の成立史。太平洋島嶼国がしっかり絡んでいるが、私はまだしっかりと勉強していない。。
さらに 国際連盟主権説 委任地域主権説 主要強国主権説 獨逸主権説 受任国主権説いついて書かれた論文を15ページに渡ってリストアップしている。田岡博士、英仏独と言語堪能。。いや国際法学ぶものは本来はそうあるべきなのだろう。
読むだけではない。米国のライトの記述に引用されている古垣鉄郎の記述の理解が間違っていることまで指摘している!
そして、「主権の語義」について完結に整理されておりここは完結ゆえに奥深い。注意して再読したいが「主権」の意味は多義的で人によって、状況によって解釈が違うので一つの意味を無理に推し進めるのは混乱を招く、とある。
そしてこの問題の実際的意義が議論される。主権が清国に残ったままの租借の権利の箇所は興味深い。そして委任統治に関する主権問題の決定は「学問的遊戯」ではないとし、受任国の権利や行動の自由に影響する実際的問題であることを強調している。
海軍と松岡がドイツから南洋諸島を譲渡するという口頭声明の秘密交換公文をドイツの在日代表と交わしたのは1940年の9月で、その後この約束を正式な文書にしようとしたり、立作太郎博士の「主たる同盟、連合国主権説」を採用したりしようとする動きの中でのこの田岡論文であり、学術的というよりも、まさに日本の将来を決めるための実際的な議論を目的としていたはずである。
5つの主権説を順次まとめてみたい。