やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ海洋保護区と国際法(2)沖縄玉城知事動く

f:id:yashinominews:20210820115352j:plain


パラオ海洋保護区について今パラオが揺れている。

もともと、国際法も科学的根拠を欠いた政策であった。さらに国内に反対の声が多く、選挙資金を巡る大統領権限を利用した無理やりに通した案件だ。

結果何が起こったのか?遠洋漁業でとれたマグロなどの補給がなくなり沿岸の水産資源が枯渇する状態となったのである。これは農林省出身の柄澤大使も指摘している。

パラオ海洋保護区見直しの声は以前もあったが、ここにきて再度期間を限定した中止、見直しの法案が上がってきたのである。これはPNMSの現在の禁漁区内で、外国の水産会社が延縄や巻き網漁を行うことを5年間認めることを提案。他方パラオ政府はUNDPから180万ドルを受け取り、4年間にわたってPNMSの強化を進めている。

ウィップス大統領は

「主要なステークホルダー全員が、どのように管理を強化するか、そして最も重要なことは、パラオの人々がパラオ国立海洋保護区からどのように利益を得続けることができるかを議論する機会を提供するものである」と。

 

こんな中、パラオEEZで漁業をする沖縄の漁業者を支えるべく、玉城デニー知事からの手紙がパラオ上院議長に出された。パラオ海洋保護区の外国船への解放の要請である。

興味深いのが玉城知事が、沖縄県がパラオ政府の「友好とパートナーシップの強化」覚書締結を提案していることだ。これは100%支持したい。パラオが問題の多い海洋保護区やカジノを推進する背景には金欠がある。特に年金の問題だ。現在もコロナの影響を受け、年金の減額が議論されている。これに国民は敏感に反応する。年間数億円の補填か、基金の共同運営(小国の基金運営はコスパが悪い)を提案したい。

ところでこのブログのテーマに国際法をもってきたが、誰もこのEEZを漁業禁止にする海洋保護区がUNCLOSに疑義があることを取り上げないのである。EEZをいかにも領海のように表現し、水産資源を沿岸国が独占する態度を取るのは、残念ながらこれも日本の官僚たちだ。。

下記にニュースの機械訳を添付しておく。

 

-----

沖縄県、OEKに海洋保護区の開放を検討するよう要請

2021年8月13日

沖縄県知事は、OEK(Olbiil Era Kelulau)に対し、沖縄の漁師のために海洋保護区に新たな漁場を開くことを検討するよう要請しました。

玉城デニー知事は、バウレス上院議長に宛てた書簡の中で、外国人漁船に海洋保護区を一時的に開放するという提案を歓迎すると同時に、この提案を支持しました。

玉城知事は、パラオ国立海洋保護区(PNMS)の実施により、パラオがEEZ内の漁場を縮小したことで、沖縄の漁業者は操業上の制約を受けていると述べました。

「この法案をOEKで審議するにあたり、皆様のご理解とご支援をお願いしたいと思っています。

この手紙には、PNMSが完全に導入される前に沖縄のロングライナーが漁をしていた場所を示す図が含まれていました。

知事は、漁業者がこれらの地域に新たにアクセスすることを望んでいると述べました。

また、玉城知事は、沖縄県がパラオ政府と「友好とパートナーシップの強化」を目的とした覚書を締結する準備を進めていると述べました。

一方で、いくつかの分野から改正案への反対意見が寄せられています。

パラオ自然保護協会(PCS)は、上院がこの法案を審議しないよう求めました。

「PCSは、この法案が完全に受理されないか拒否権を行使されないこと、そしてPNMSが国民と国家に対する約束を果たすためにあらゆる支援と機会が与えられることを強く推奨します」と書簡には書かれています。

PCSは、この修正案はPNMSの価値を下げ、パラオの "原始の楽園観光 "のブランドを汚すことになると付け加えました。

また、このNGOは、海洋保護区を漁業に開放することは、特に遠くの漁場に行くことができない弱い立場の人々に、食糧不安をもたらすだけだと述べています。

また、PNMSを停止しても、人々には何の利益ももたらさないとも述べています。