やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ナウル、エニミア大統領、南太平洋大学の不正をバラす

2021年2月4日、ちょうど太平洋諸島フォーラムの事務局長選挙が行われた時、フィジーにある南太平洋大学学長(英国式でVice-Chancellorという名称)Pal Ahluwalia教授(カナダ国籍)がフィジー政府によって強制国外退去させられた。

前任者のラジャシェ・チャンドラ学長はじめ、大学とフィジー政府の不正が明らかにされたことをフィジー政府が受け入れず、強硬手段に出たのだ。Pal Ahluwalia教授は当時南太平洋大学のChancellor だったナウル大統領の判断で、ナウルに滞在し大学業務を行なっている。

Head of Pacific university to be deported by Fiji | RNZ News

 

この度、ニュージーランドの独立調査機関の報告書がナウル大統領によってナウル議会と地域の関係機関に配布されたという。背景にはPal Ahluwalia教授の再任を巡って大学の公式な手続きにも拘らず、反対したフィジー政府が訴えを起こし、さらに地域機関であるはずの南太平洋大学への助成金を保留していることがある。

英領であったフィジーは南太平洋の十字路と言われ、過去には地域の調整役であった。太平洋諸島フォーラムもフィジーにあるが、ナウルを含むミクロネシア5カ国は脱退を表明し手続きを進めている。フィジーがおかしくなったのは軍事クーデター後に中国はじめBRICSとの関係を強化し始めた頃、すなわち過去10年でフィジーは大きく変わってしまった。政府、政権を批判する人物は容赦なく排除されるのだ。島社会とはそういうところ、です。

Nauru’s president aims fire at Fiji in support of USP Vice-Chancellor - Pacific Beat - ABC Radio Australia