やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策

  桜に浮かれて、完璧に見逃していた。防衛大学の福嶋先生から、Anthony BerginとBatemanがインド洋を巡る海洋政策の報告書を出した、とこの前お会いした時に伺った。

31 MARCH 2010 "Our western front: Australia and the Indian Ocean" By Anthony Bergin and Sam Bateman

 早速調べると、2010年3月31日、スミス外務大臣が出版記念でスピーチをしている。つまり、この報告書はオーストラリアのインド洋政策に直結する、と言うわけだ。

  本来ならば報告書を読んでからこのブログをまとめるところですが、このスミス大臣のスピーチが全てを語っているようにも思いますので先にご報告します。

 

Paper by Stephen Smith MP, Minister for Foreign Affairs, presented at the launch of ASPI's report: 'Our Western Front: Australia and the Indian Ocean'

Perth,31 March 2010 より

https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/search/display/display.w3p;query=Id:%22media/pressrel/2SBW6%22

 

下記のような重要な地域にも拘らず残念な事にオーストラリアはインド洋への関心が低かった。

 ・世界の40%の人口が環インド洋にある。

・世界で3番目に大きい海洋である。

・オーストラリアは最大のインド洋面積を有する。

・インド洋はオーストラリアの安全保障の心臓部である。

・中東、インド、中国のエネルギー・資源需要に向けたオーストラリアからの航路である。そして世界最大の交易ハイウェイとなった。

 

Indian Ocean Rim-Association for Regional Cooperation (IOR-ARC)の創設メンバーとして下記の活動も含めオーストラリアは積極的に関わって行きたい。

 ・UNESCOとの恊働による津波対策

・Indian Ocean Tuna Commissionとの恊働による漁業資源管理

・SAARCとの恊働による南アジアの平和維持

・Gulf Cooperation Councilとの恊働によるテロ海賊対策

・African Unionとの恊働による貿易投資強化と安全保障強化

 

最後にスミス大臣は「陽は太平洋から昇りインド洋に沈む」と締めくくっています。

 

(文責:早川理恵子)