やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

第2節 公海における生物資源の保存及び管理

UNCLOS - 国連海洋法条約にありました。

米国の79隻を含む140隻がWCPFCの旗で公海の違法操業を管理する拠り所。

島嶼国のEEZはシップライダーズ協定でカバーするので、これで太平洋のEEZと公海はPACOMが、いや米国が完璧にカバーする事になる、という話だと想像しています。

メモとして下記にペースとしておきます。

第2節 公海における生物資源の保存及び管理

第116条  公海における漁獲の権利

 すべての国は、自国民が公海において次のものに従って漁獲を行う権利を有する。

a 自国の条約上の義務

b 特に第63条2及び第64条から第67条までに規定する沿岸国の権利、義務及び利益

c この節の規定

第117条  公海における生物資源の保存のための措置を自国民についてとる国の義務

 すべての国は、公海における生物資源の保存のために必要とされる措置を自国民についてとる義務及びその措置をとるに当たって他の国と協力する義務を有する。

第118条  生物資源の保存及び管理における国の間の協力

 いずれの国も、公海における生物資源の保存及び管理について相互に協力する。2以上の国の国民が同種の生物資源を開発し又は同一の水域において異なる種類の生物資源を開発する場合には、これらの国は、これらの生物資源の保存のために必要とされる措置をとるために交渉を行う。このため、これらの国は、適当な場合には、小地域的又は地域的な漁業機関の設置のために協力する。

第119条  公海における生物資源の保存

 1   いずれの国も、公海における生物資源の漁獲可能量を決定し及び他の保存措置をとるに当たり、次のことを行う。

a 関係国が入手することのできる最良の科学的証拠に基づく措置であって、環境上及び経済上の関連要因(開発途上国の特別の要請を含む。)を勘案し、かつ、漁獲の態様、資源間の相互依存関係及び一般的に勧告された国際的な最低限度の基準(小地域的なもの、地域的なもの又は世界的なもののいずれであるかを問わない。)を考慮して、最大持続生産量を実現することのできる水準に漁獲される種の資源量を維持し又は回復することのできるようなものをとること。

b 漁獲される種に関連し又は依存する種の資源量をその再生産が著しく脅威にさらされることとなるような水準よりも高く維持し又は回復するために、当該関連し又は依存する種に及ばず影響を考慮すること。

 2   入手することのできる科学的情報、漁獲量及び漁獲努力量に関する統計その他魚類の保存に関連するデータは、適当な場合には権限のある国際機関(小地域的なもの、地域的なもの又は世界的なもののいずれであるかを問わない。)を通じ及びすべての関係国の参加を得て、定期的に提供し、及び交換する。

 3   関係国は、保有措置及びその実施がいずれの国の漁業者に対しても法律上又は事実上の差別を設けるものではないことを確保する。

第120条  海産哺乳動物

 第65条の規定は、公海における海産哺乳動物の保存及び管理についても適用する。

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第六十三条 二以上の沿岸国の排他的経済水域内に又は排他的経済水域内及び当該排他的経済水域に接続する水域内の双方に存在する資源

1 同一の資源又は関連する種の資源が二以上の沿岸国の排他的経済水域内に存在する場合には、これらの沿岸国は、この部の他の規定の適用を妨げることなく、直接に又は適当な小地域的若しくは地域的機関を通じて、当該資源の保存及び開発を調整し及び確保するために必要な措置について合意するよう努める。

2 同一の資源又は関連する種の資源が排他的経済水域内及び当該排他的経済水域に接続する水域内の双方に存在する場合には、沿岸国及び接続する水域において当該資源を漁獲する国は、直接に又は適当な小地域的若しくは地域的機関を通じて、当該接続する水域における当該資源の保存のために必要な措置について合意するよう努める。

第六十四条 高度回遊性の種

1 沿岸国その他その国民がある地域において附属書1に掲げる高度回遊性の種を漁獲する国は、排他的経済水域の内外を問わず当該地域全体において当該種の保存を確保しかつ最適利用の目的を促進するため、直接に又は適当な国際機関を通じて協力する。適当な国際機関が存在しない地域においては、沿岸国その他その国民が当該地域において高度回遊性の種を漁獲する国は、そのような機関を設立し及びその活動に参加するため、協力する。

2 1の規定は、この部の他の規定に加えて適用する。

第六十五条 海産哺乳動物

この部のいかなる規定も、沿岸国又は適当な場合には国際機関が海産哺乳動物の開発についてこの部に定めるよりも厳しく禁止し、制限し又は規制する権利又は権限を制限するものではない。いずれの国も、海産哺乳動物の保存のために協力するものとし、特に、鯨類については、その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて活動する。

第六十六条 溯河性資源{溯にサクとルビ}

1 溯河性資源{溯にサクとルビ}の発生する河川の所在する国は、当該溯河性資源{溯にサクとルビ}について第一義的利益及び責任を有する。

2 溯河性資源{溯にサクとルビ}の母川国は、自国の排他的経済水域の外側の限界より陸地側のすべての水域における漁獲及び3(b) に規定する漁獲のための適当な規制措置を定めることによって溯河性資源{溯にサクとルビ}の保存を確保する。母川国は、当該溯河性資源{溯にサクとルビ}を漁獲する3及び4に規定する他の国と協議の後、自国の河川に発生する資源の総漁獲可能量を定めることができる。

3(a) 溯河性資源の漁獲は、排他的経済水域の外側の限界より陸地側の水域においてのみ行われる。ただし、これにより母川国以外の国に経済的混乱がもたらされる場合は、この限りでない。排他的経済水域の外側の限界を越える水域における溯河性資源の漁獲に関しては、関係国は、当該溯河性資源に係る保存上の要請及び母川国のニーズに妥当な考慮を払い、当該漁獲の条件に関する合意に達するため協議を行う。

(b) 母川国は、溯河性資源{溯にサクとルビ}を漁獲する他の国の通常の漁獲量及び操業の形態並びにその漁獲が行われてきたすべての水域を考慮して、当該他の国の経済的混乱を最小のものにとどめるために協力する。

(c) 母川国は、(b) に規定する他の国が自国との合意により溯河性資源{溯にサクとルビ}の再生産のための措置に参加し、特に、そのための経費を負担する場合には、当該他の国に対して、自国の河川に発生する資源の漁獲について特別の考慮を払う。

(d) 排他的経済水域を越える水域における溯河性資源に関する規制の実施は、母川国と他の関係国との間の合意による。

4 溯河性資源{溯にサクとルビ}が母川国以外の国の排他的経済水域の外側の限界より陸地側の水域に入り又はこれを通過して回遊する場合には、当該国は、当該溯河性資源{溯にサクとルビ}の保存及び管理について母川国と協力する。

5 溯河性資源{溯にサクとルビ}の母川国及び当該溯河性資源{溯にサクとルビ}を漁獲するその他の国は、適当な場合には、地域的機関を通じて、この条の規定を実施するための取極を締結する。

第六十七条 降河性の種

1 降河性の種がその生活史の大部分を過ごす水域の所在する沿岸国は、当該降河性の種の管理について責任を有し、及び回遊する魚が出入りすることができるようにする。

2 降河性の種の漁獲は、排他的経済水域の外側の限界より陸地側の水域においてのみ行われる、その漁獲は、排他的経済水域において行われる場合には、この条の規定及び排他的経済水域における漁獲に関するこの条約のその他の規定に定めるところによる。

3 降河性の魚が稚魚又は成魚として他の国の排他的経済水域を通過して回遊する場合には、当該魚の管理(漁獲を含む。)は、1の沿岸国と当該他の国との間の合意によって行われる。この合意は、種の合理的な管理が確保され及び1の沿岸国が当該種の維持について有する責任が考慮されるようなものとする。