やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

大統領の殺し文句

25年近くも太平洋で仕事をしていると、普通ではできない経験をする。

例えばオークランドのホテルのロビーで、某島嶼国の国王から

「お、リエコ、こんなところで何をしている。?笹川会長はお元気か?」

と呼び止められ夕食をごいっしょする事になる。

ミクロネシアのある空港で、ばったり某島嶼国の前大統領に会うと

「リエコ元気か。笹川会長はいかがか?」なんて話になってしまう。

自慢話に聞こえるだろうからあまり他人には話さないが、人口数万人の小国とはいえ、大統領は大統領、国王は国王である。

名前を覚えていただいて、呼び止められる事を嬉しく思わない訳はない。

しかし、その後が気が重い。とてつもない宿題を出されるのだ。

最近も某島嶼国の大統領と直接お会いする機会に恵まれた。

おじさん、おばさんに相変わらずイジメられています、とこぼしたら、

「少なくとも4年間、僕の任期中は辞めたらだめだからね。」

と言われた。

外交辞令とわかってはいるが、素直に嬉しい。イジメに耐え頑張ります、という気持ちになる。 

その次にお会いした時は、

「リエコ、君が来ると千歩進んだような気がするよ。」

これ、裏を返せば千歩進めろ、という無言の圧力。

これも期待されている、と素直に喜び、千歩進めなきゃ、という気持ちなる。

大統領の殺し文句。

きっと他の人にも言われていると思うが、こんな経験はそうそうできなから、素直に受け止めて、頑張るしかないよね。