以前読んだ『国際法の実践』小松一郎大使追悼(信山社、2015年)が難しかったので、小松一郎氏が書かれた『実践国際法』は図書館で借りたまま開かないで返却日が来てしまった。
『国際法の実践』小松一郎大使追悼、信山社、2015年 - やしの実通信
開かなかった事を悔やんだのは最初の「はしがき」の部分からである。
「…世界を相手とする日本お外交上の主張に最大限の説得力を確保すると言う観点から長らく考えてきた事がある。どうすれば「国際法を味方につけることができる」かと言うことである。換言すれば、いかにして外交実務において「国際法を使う」のか…」
同志社大学の法学研究科に入っていなければ立作太郎先生の委任統治の解釈に関する文書を掘り起こして読み込む作業などしかったと思う。その知識が早速反日のコメントをやり込める事に活用できた時はまさに上記にある「いかにして外交実務において「国際法を使う」」「どうすれば「国際法を味方につけることができる」か」を実感した瞬間であった。
読書メモ『南洋委任統治問題』(「立作太郎、国際連盟協会発行、昭和8年3月) - やしの実通信
第1章の「外交実務で「国際法を使う」ということ」では南極捕鯨裁判の件が事例として取り上げられている。やはり豪州の南極領有権主張とそれに基づくEEZの件が重要なのだ。捕鯨問題を書くメディアの方はこの本の8−27頁を一読、いや読み込む事をお勧めする。学術議論ではないのですんなり頭に入って来るのではないか?
4千円するこの本。購入した方が良いかも。
なんせ今太平洋島嶼国閣僚の海洋法アドバイザーとして、日々情報を提供する立場となってしまったのだ。
某島嶼国閣僚「リエコ、起きろ。なぜ我が国は海洋法を批准して署名しておらんのか?」
私「え、朝の6時ですよ。今どこですか?」
某島嶼国閣僚「ハワイだ。時間がない。コーヒーでも飲んでとっと目を覚ませ。時間がない。」
私「海洋法が発効した時まだ独立してなかったんじゃないですか?」
某島嶼国閣僚「確実か?会議は20分後に再開するので至急調べよ。」
一銭にもならない島嶼国政府のアドバイザー活動。名誉で光栄な事であるからきちんと勉強して国際法を島嶼国政府の味方につけてあげよう!実は海洋法は開発途上国を支援するたくさんの条項があるのに誰も知らないのだ!