昨年、大統領に再任されたパラオのレメンゲサウ大統領が発表し、豪州ビリオネラーがドローンを飛ばし、PEW財団が囃し立て、今年2月には国連で開催されたワークショップで再度レメンゲサウ大統領がスピーチし、メディアが取り上げたパラオEEZの商業漁業禁止。
大統領がやりたい、と言ってもその実効性がなければ、また議会が承認しなければ前に進まない。
何よりも、豪州ビリオネラーもPEW財団も、世界のメディアも誤解しているのが、この提案は方法であって目的ではない、という事だ。
パラオのEEZ、全く監視管理できていないので違法操業ばっかり。たまに監視に出ると必ず違法操業が捕まる、という。(大統領から伺いしました。)これじゃあ、一銭にもならないし、水産資源のダメージにつながる。
最近、日本の外務省と水産庁の担当者に同じ説明をしたのでここに書いておきたい。
大統領が言っているのは、水産資源管理と国家収益につながる海洋管理であって、全面商業漁業禁止はあくまでその方法。目的と方法をしっかり認識しておかないと、軽薄短小な環境NGOや豪州ビリオネラーみたいな軽率な支援になってしまう。
自分も漁師だという大統領がよく例にあげるのが、パラオの伝統的漁業資源管理のバル-Bulである。
魚の産卵、幼魚の時期の漁業を禁止する伝統的知恵である。捕るために、持続可能な漁業のために禁止するのである。禁止する事自体は目的ではない。
IUU - Illegal Unreported and Unregulated の漁業はだめなのであって、LRR (当方の造語)ーLegal, Reported and Regulatedの漁業はよいのだ。
前者は一銭にもならないどころか、水産資源の枯渇を招く。後者はその逆でお金にもなるし持続的水産資源管理のつながる。
全面禁止でもそうでなくても、どちらにしろ、EEZの監視と法執行は必要なのだ。
というか、EEZの監視と法執行ができていれば大統領はこんなラディカルな提案をする必要はなかったのだ。
ここはやっぱり日本のシーパワーが出て行く時ではないでしょうか。