やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

「第2回資源管理のあり方検討会」で何があったの?

2008年、ミクロネシア海上保安事業を立ち上げてから漁業問題に関わらざるを得なくなった。 太平洋では意外にも日本の漁業が悪者にされている事がショックだった。

2011年、自力で、ウェッブサーフィングして調べていたら勝川先生のブログを発見し、日本の水産資源管理の問題を始めて知った。 2010年、水産庁の宮原さんの講演会(*)に参加し、また実際のお会いする機会が2014年になってあり、水産庁の資源管理の姿勢を徐々に勉強させていただいている。

それで、先週開催された勝川先生も委員の「第2回資源管理のあり方検討会」の協議内容が思いっきり気になっていたのだが、メディアにもSNSにも報告がない。1回目は想像以上にメディアに取り上げられたし、2回目は80人の傍聴者枠を超える140人の参加があったというのに。 唯一見つけたのは下記のFacebookの情報。

 

<水産庁叩き> 1回目の資源管理のあり方検討会は日本の水産資源管理ができていない、水産庁の責任である、というコメントが多かった。安い魚を求め、メディア産業複合体の情報操作でマグロマニアになった消費者の責任はあまりなかったのが気になっていた。 詳細は書けないが、現在水産庁が行う水産資源管理のかなりインパクトの大きい、個人的には歴史的と考える事業に関わらせていただいている。だから水産庁が資源管理をしていない、というのは若干疑問もある。 (念のために書いておきますが水産庁から一銭もいただいていません。) 漁業者自らが現状を改善しようと言う動きもある。壱岐市マグロ資源を考える会という活動に水産庁も協力している。

 

 

<ITQ批判>

勝川先生が推奨するのがITQ("individual transferable quotas")ー譲渡可能な漁獲割当制度である。 何度か読んだがよくわからない。ただし、まともな議論、理論であれば必ず批判、criticismがあるのである。で探したら色々あった。これも読んだけど複雑でよくわからない。

「譲渡可能な漁獲割当 (Individual Transferable Quotas: ITQs)の効率性 に関する一考察」

https://irdb.nii.ac.jp/01235/0002040025

 

Cautionary Note on Individual Transferable Quotas

http://www.ecologyandsociety.org/vol15/iss3/art36/

 

2つ目の英文の論文で問題点と挙げているのが下記の3点。

(i) a monopoly power developing in a fishery;

(ii) increased social inequity; and

(iii) big players becoming bigger mainly because they have more effective lobbying machinery,

結論ではITQは万能薬ではない、漁業資源管理の一つの方法でしかない、と。

"ITQs are clearly not a panacea for ensuring the sustainable management of fishery ecosystems. It appears that there is no silver bullet for the problems in fisheries management, so the struggle to govern the commons continues unabated (Dietz et al. 2003). ITQs can only be expected to be part of the toolkit available to fisheries managers. "

で、「第2回資源管理のあり方検討会」で何があったの?何が議論されたのでしょうか?