小国の王室というのは海外旅行に御付きが一人か二人(しかも頼りない)という現状を知ってしまった以上、放っておけない。
ツポウ5世は結構頻繁に日本にいらしていたのである。
当時ツポウ5世は国防大臣と外務大臣も兼ねていらしたのである。
その時はトンガ外務省の職員のお付きが2名いた。
「魚包丁を買いたい。」
聞いた相手が悪かった。私、魚包丁なんて見た事も、買った事もありません。
今思えばこれも銀座松坂屋に行けば済んだ話だったかもしれないが、築地にお連れしてしまった。
築地に島嶼国のジャーナリストを案内した時に包丁屋さんを見た記憶あったのだ。
ツポウ5世が所望されていた「魚包丁」は多種品揃えで並んでいて、満足そうな表情を確認できた。(ヤッター!)
ツポウ5世はポケットからクレジットカードを出されたのである。
お店のおじいさん「クレジットカードは扱ってないよ。」
(ガーン!)
私の財布には漱石先生が2、3枚しか入っていないし、アイランダーにお金を貸すと戻って来ないという経験値があったため自分のお財布を出す事はしなかった。
「銀行に行けば現金が下ろせるので銀行へ。」とツポウ5世。
幸い、築地に銀行がありクレジットカードからお金が下ろせた。
その時、ツポウ5世がお座りにになった銀行の椅子が(重さで)壊れてしまったのだ。
トンガ政府外務省のお付きのお姉さん達はクスクス笑っている。
銀行は、流石にどなかたわかったらしく文句は言わなかった。
私は、一瞬「傍観者」となって責任回避!
幾多のハプニングを乗り越え、ツポウ5世は築地で魚包丁をやっと買い求められたのである。
トンガ王族は様々な企業を運営しており、ツポウ5世は漁業会社を所有経営されたいたようだ。
一時、そんなトンガ王族の独占経営に国民からの批判が集中し、王族経営のいくつかの企業が国営か民営に委譲されたと思う。
オークランドでお寿司を一緒にいただいた時、一番美味しいマグロはタイにある、とかマグロの世界市場にやけに詳しくいらっしゃるのであった。
My "Your Royal Highness" ー ツポウ5世との思い出はここに書けない事も多々あるし、お墓まで持って行くべき事もある。
もう一つ、トンガでの貴重な思い出を書いて終わりにしたい。