やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

チュック州の分離独立に待ったをかける米国?

2019年2月16−20日の日程でミクロネシア連邦のチュック州、パラオ、マーシャル諸島のクワジェリンを、太平洋空軍司令官(Pacific Air Forces commander)Gen. CQ Brownが訪ねた。

Gen. CQ Brownは内務省のDouglas Domenech次官補、国防省、アメリカ合衆国国家安全保障会議からも参加を得てこの訪問を実施した。

チュック州では第二次世界大戦のヘイルストーン作戦75周年式典を開催した。

式典でのGen. CQ Brownの下記のコメントー わが軍人とチュックの市民の犠牲の下に現在の自由の基盤がある ー は敵国だった日本人としてうーんと唸るが、次のチュック州分離独立の動きを知ると政治的背景が理解できる。“This event provided the opportunity to recall the sacrifices of our military members and Chuuk civilians that, today, provides the foundation for our freedoms,”

 

チュック州だけではない、ヤップ州にも分離独立の動きがある。背後には勿論中国がいる。3月5日の住民投票が延期された、という。勿論今回の米国のハイレベルグループの訪問が影響している。

さらにパラオでは米軍が設置するレーダーが完成間近だ。


このニュースではパラオの海洋監視を目的と書いてあるが、勿論本命は中国の動きである。レーダー設置場所はアンガウル。パラオと米国の自由連合協定は、米国の軍事活動、安全保障の活動をパラオ領域内で許可している。

 

米国は以前もクリントン国務長官の時代に太平洋への関心を示した。しかし、ケリー国務長官になって一気に消えてしまった。トランプ政権のインド太平洋における安全保障政策は安倍政権からの刺激が大きいし、米軍が以前から指摘する中国、ロシアの影響の懸念が大きい。

ロシアも宗教や査証免除の動きをパラオで開始している。

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