敵陣に阿呆を見つけた時は宝物を発見したような喜びがあるが、味方に阿呆を見つけた時は、敵陣に賢人を見つけた時よりも恐ろしい。
命取りになるからだ。
当方は羽生会長から財団で一番仕事ができる、と評価いただいているのだが(口が滑っただけかもしれないし、覚えていないかもしれないが)、そんなに他の職員は仕事ができないのだろうか、と訝しく思った事がある。
ミクロネシア3カ国の大統領との真剣勝負の仕事があった時、最悪のお兄ちゃんと組まされた。
知識、経験がないだけでなく、プライドが妙に高い。
「早川さん、あなたにはできないでしょうから僕がやります。」
「どうぞ、どうぞ、やって、やって。」
会議での発表なのだが、書いたものを読む能力はあってもやり取りに対応できず、ミクロネシアの方達から気を使っていただく始末となった。
だめだ、こりゃ。
ところが自分に能力があると思っているので、至ところで当方の交渉業務の足を引っ張る。
手八丁、口八丁でこっちは真剣勝負なのに、余計な口出しをする。
微妙な人間関係、パワーポリティクス、全てを読み取りながらの交渉なのに、
だめだ、こりゃ。
いよいよミクロネシア3カ国大統領の決着の場面となった。
男の子のプライドを壊さずにうまく回避する方法。。
「会長がこの会議に参加する事が一番重要だから、あなた空港まで迎えに行って。」
これはうまく行って追っ払う事ができた。
これで思う存分仕事ができる。
羽生会長が大統領サミットに到着した時は、全てこちらの希望通りに話が進んだ。
羽生会長からは「早川君感謝しているよ。」と100回位言われた事は忘れられない。
お願いだから阿呆な兄ちゃんとは組ませないで!とその時言えなかったから、今言う。
<追記>
これだけではなかった。そのプライド高きお兄さんは、ある日ミクロネシアの某大臣を呼び出して「財団の言う事聞け!」とやったのである。
偶々その大臣が当方の友人だった。
「財団はどういうつもりなのか。この件は大統領にも報告せねばならない。そうなれば我国はこの事業から手を引くであろう。」
急遽羽生会長に連絡。「早川さん至急対応して欲しい。」プライド高きお兄さんの尻拭いを任された。
こういうのって羽生会長と私しか知らない話なんだろうけど、なんで私だけが評価されるの?って皆から不審に思われているだけでなく、国交省、海保のおじさん、お兄さん達が米豪のカウンターパートに「羽生会長と早川さんは”特別な関係”」と言いふらしているのを米豪の知人から報告を受けているので書く事とした。
まさに味方は敵の中に、敵は味方の中にいるのである。