やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

メラネシアスピアヘッドグループ(MSG)と西パプア問題

今日、2016年7月14日、西パプア問題に大きな転換点が示されるかもしれない。

インドネシア領である西パプアがメラネシア地域の政府間機関であるメラネシアスピアヘッドグループMSGの正式メンバーになるかどうかが決定される。

 

<西パプア問題とは何か?>

FBFの方から西パプア問題について質問があった。全く知らないと言う。多分これが日本人の一般的な認識であろう。かなり乱暴に書くと。。。

戦後旧オランダ領であった西パプアをオランダとインドネシアが取り合った。戦争が始まりそうなところ米国のケネディ大統領が仲裁に入り、国連マターとなって住民投票をやろう、と言う話に。

しかし西パプアの住民投票は銃口の下に行われ、西パプアはインドネシア領となったのだ。

その背景には米国の強欲企業フリーポートという鉱山会社がある。西パプアは世界有数の金の生産地。またケネディ政権下の共産主義対応もある。

 

<西パプアで起っていること>

問題は、インドネシアに併合され米国の鉱山会社が開発する西パプアに何が起っているか、である。

フリーポートがインドネシア軍を傭って日々西パプア人を虐殺、リンチ、してきた。しかしこれらの事実はメディア規制があり今まであまり外に出なかった。暗殺されたジャーナリストが何人かいる。

私もこうやって書けるようなったのはSNSで多くの情報が出て来たからだ。

 

<インドネシアが西パプアを手放したくない理由>

なぜインドネシアは世界の批判を浴びてまで西パプアを手放したくないのか?鉱山の権益もあるであろうが、日本軍が開発した西パプアにあるビアク島が今インドネシアとロシアのロケット発射地になっている、ということだ。つまり地政学的安全保障上、重要な領土なのである。

 

<日本との関わり>

西パプアが分離独立するにしても、後ろ盾が必要だ。パプアニューギニアは豪州が財政の半分以上を支援している。

過去の経緯を見れば西パプアはインドネシアを選ばないであろう。また豪州はインドネシアとの関係で西パプアの分離独立を支援できない立場であろう。米国は西パプアのインドネシア併合のある意味張本人である。フリーポートという企業のある国である。

日本は?ビアク島の開発をし、インドネシアの独立を助け、またフリーポートの鉱山を2次的、3次的に利用してきたのである。

実は西パプア独立派から日本への期待は大きい。分離独立が必ずしも美しい話ではない事はこのブログで書いて来た。もし日本ができるとしたら西パプアの医療、教育、そして治安の支援ではないだろうか?

 

関連ブログ

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ABC News

http://www.abc.net.au/news/2016-07-13/west-papua-activist-calls-for-jakarta-to-engage-in/7626324

 

MSG to Determine Status for West Papua Free Movement

Jakarta Globe

http://jakartaglobe.beritasatu.com/news/msg-determine-status-west-papua-free-movement/