やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

BBNJとは何か? 区域型管理ツール

BBNJのイロハ編。JAMSTECの本田悠介氏(2016年3月31日)のペーパーから。

BBNJ条約交渉の法的論点その二。区域型管理ツール。

海洋保護区はこの代表的手段なのだそうだ。「海洋保護区」についてはいくつか論文を読んだがこれも百花繚乱コンセプトのようである。しかも「海洋保護区」という手段が目的にすり替わる危険性を充分もっているように見受けられる。

この区域型管理に積極的なのがEU, 豪州、ニュージーランド

この中でもEU

「既存のセクター別の対応では国家管轄権外区域の海洋生物多様性保全に十分対応できていないとして、普遍的に対抗可能な海洋保護区の設置を支持する。」

ここで言う既存セクターとは?普遍的とは?EUで主導しているのは誰か? 疑問はつきない。本田悠介氏に伺ってみたい。駄目もとでメールをだしてみようか?

これに対し漁業先進国(日本、でしょうね)は漁業規制を目的とした海洋保護区は否定的で、地域的漁業管理組合(RFMOs)に委ねる事を提案しているようだ。これは先般のワシントン条約会議でフィジーパラオ等が提出した鮫、エイの件と同じ対応だ。

ということはRFMOs (Regional fisheries management organizations )がいかに有効に機能するかどうかにかかっているのではないか?

そして区域型管理も海洋保護区もUNCLOSでは取り上げられていないという。

そもそもUNCLOSやRFMOsがどのように機能しているのか、太平洋のFFAとWCPFCを多少知っているだけで、当方はわかっていない。特にSIDSに代表される、また欧米の環境NGOに影響を受けやすい小島嶼国がどのように関与しているのか?というのも一つの視点ではないだろうか?