やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『タックスヘイブンの闇』と島嶼国(3)

 

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現代のタックスヘイブンの起源はブレトンウッズ会議にある事は以前書いた。

シャクソンの『タックスヘイブンの闇』にも1章を割いてその事が書いてある。

 

第4章 オフショアと正反対のもの ー 金融資本に対する戦いとケアンズ(94−116頁)

 

 

ブレトンウッズ会議でケインズは資本の逃避を規制しようとしたが、アメリカの銀行とロビイストがこれを骨抜きにした。アメリカの銀行はヨーロッパからの逃避資本で巨額な利益を得たのである。

そして、ドル体制を嫌った巨額な中国、ソ連のお金がヨーロッパに逃避し、そしてさらに戦後新たに独立した島嶼国に逃避したのである。いや、逃避させるために小島嶼国を独立させたのである。

例えばバヌアツがそうである。

 

  

<6人のお茶会 テーマは民族自決と逃避資本  

参加者:レーニン、ウィルソン、ケインズ、トン大統領、レメンゲサウ大統領、デカプリオ>

 

キリバスのトン大統領「いやいや、レーニンさんのおかげで独立できました。民族自決はすばらしい!」

レーニン「社会主義国へようこそ。え、社会主義じゃないの?」

トン大統領「島が沈むので国家財産は国民の福祉ではなく投資に回しています。」

 

パラオのレメンゲサウ大統領「いやいや、ウィルソンさんのおかげで人口2万にも満たないのに独立できました。しかも米国が安全保障を面倒みてくださる。」

ウィルソン「民族自決の話はしないでくれ!世界にこんなに民族があるなんて知らなかったんだよオ。ところで安全保障って米国のだよ。パラオのじゃないよ。」

レメンゲサウ大統領「太平洋には14の主権国家がありますよ。人口1500人にニウエも提携国家として存在します。みーんな、ウィルソンさんのおかげです。」

 

ケインズ「なんで2万人以下の人口で主権国家が成立するのだ。資本逃避は規制しろと言ったはずだ。何!資本逃避のために小国を作ったのか!」

デカプリオ「ケインズさん、我々は宝島と呼んでいます。大英帝国を見習ってるだけです。心配しなくていいですよ。広大な海洋保護区を制定してサメさんやクジラさん、マグロさんを守るための信託基金を設置しましたから。人間はどうでもいいです。環境保護のおかげで民族自決と資本逃避は正当化されるんです。(米国史上最大のマネーローンダリングに関与してしまった!でも大丈夫、ケチャップ屋さんが守ってくれるはず。)」