やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『タックスヘイブンの闇』と島嶼国(2)

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 「タックスヘイブンとは何かについて、衆目の一致する見解はない。」と『タックスヘイブンの闇』の著者、シャクソン氏は書く。

そして本来租税回避だけを目的とするものではないので、この本では

「人や組織が他の法域の規則・法律・規制を回避するのに役立つ政治的に安定した仕組みを提供することによって、ビジネスを誘致しようとする場所」とする。それは「社会の恩恵を受けることにともなう義務ー納税の義務、まともな金融規制・刑法・相続法などに従う義務ーからの逃げ場を提供するということだ。」と説明する。(同書18頁)

 

そう、タックスヘイブンとはあらゆる越境犯罪、もしくなんと言えばいいのか、合法的越境犯罪マインドが行われる場所。そしてそれを提供するのが法規制が緩い太平洋島嶼国などの小国なのだ。

 

 

さて、このタックスヘイブンはヨーロッパ、英国、ロンドン、シティが発祥値だが、アメリカもおくれて参加した。

アメリカでは連邦、州レベルの次に島嶼地域があげられている。(32-33頁)

島嶼地域の例としてマーシャル諸島の便宜置籍船の例が紹介されているのだが、この会社を設置したのがジョージ・ブッシュの友人であるフレッド・ゼダー二世。アメリカ政府からマーシャル諸島への支援金で設立されたこ船舶登録会社はゼダーの息子が運営(もしくは所有)し、会社は米国にある。(34頁)

ミクロネシア地域では、「ブッシュ大統領のお友達」によるさまざま越境ビジネス(これを主権ビジネスとオーストラリアのアンソニー・フォッセン教授は呼ぶ)を見る事ができる。

 

比較的最近の例では、台湾の陳総督とパラオのレメンゲサウ大統領のマネーローンダリングが有名だ。下記の件もレメンゲサウ大統領が関与している、とニュースにはなっていない現地での「噂」である。

 

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