やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

クック諸島の政治的地位再考の動き

今年になってクック諸島の政治的地位に関する議論が多少話題になったようだ。

クック諸島ニュージーランドと1964年から自由連合協定を締結している。

Sovereignty, Free Association With New Zealand - Or Independence?

Submitted by PIR Editor on Mon, 04/17/2017 - 13:23

RETHINKING THE COOK ISLANDS’ FREE ASSOCIATION AGREEMENT WITH NZ: PART 1

APRIL 4, 2017、Evelyn Marsters

上記2つの記事を読むと、発端は2015年にクック諸島首相がニュージーランドからの完全な独立を言い出したことにあるようだ。

Cook Islands push for independence from NZ

May 31 2015

http://www.stuff.co.nz/world/south-pacific/68986939/Cook-Islands-push-for-independence-from-NZ

人口の半分以上がニュージーランドに住むクック諸島の人々。ニュージーランド市民として数々の恩恵がある。上記の記事は、現在の自由連合の状態について何の調査分析もせず、また肝心のクック諸島の人々の意見も聞かず、このような話が出てきたことを批判している。と同時に1960年の国連決議1541で規定された、統合か、独立か、自由連合か、という選択の中の「自由連合」とは何かが議論されている。

プナ首相の気持ちを想像すると、同じ自由連合ミクロネシア3国は独立国として国連で演説。海洋問題が国連で活発に取り上げられる昨今、レメンゲサウ大統領などが世界的に注目されるなかでクック諸島の存在がほぼ見えないことへの不満があったのではないだろうか? 全くの想像です。

クック諸島は約200万㎢の広大なEEZ保有する。

加えて、中国や韓国と直接交渉する中で独立国としての誘惑が自分の内からも、外からもあったのではないだろうか? ここも想像です。

プナ首相の独立構想は引っ込めたようである。

50年経って、完全な独立より自由連合の継続を希望するクック諸島の人々の事を、松井教授や山形教授はどのように分析するであろう?