やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ニウエの海洋保護区とパナマ文書(追記あり)

禁漁区を制定した新たなメガ海洋保護区が太平洋に誕生するようだ。

 

場所はニエウ。人口1,600人でニュージーランドと自由連合協定を締結する。

ニウエ政府は40%のEEZを禁漁( No Take Zone)と海底資源開発も禁止とする海洋保護区制定に動く、という。

 

同じくニュージーランドと自由連合協定を締結するクック諸島が200万㎢のEEZを保有するのに比べ、ニウエは30万㎢と小さい。その40%の海洋保護区は127,000㎢程度。禁漁区にするのは現在漁業が行われていない地域。よって現在得ている入漁料にが減る事はない。

 

この海洋保護区を推進する Tofia Niueは10月初頭にマルタで開催されたOur Oceanに参加。Ocean5が1ミリオンドル(約1億円)出資することを確認してきたという。

Ocean5 ー チャールズ皇太子が名前を挙げて賞賛していた組織である。

 

 

Niue moves from fishing to marine conservation

11 October 2017

http://www.radionz.co.nz/international/programmes/datelinepacific/audio/2018617374/niue-moves-from-fishing-to-marine-conservation

 

このインタビューに答えているToke Talagi 首相の娘Peleni Talagi女史はパナマ文書で有名になったMossack Fonseca のニウエ代表。この海洋保護区が租税回避の金融システムであることをほのめかす現地メディアの声もあるが、キリバスもパラオも海洋保護区と言いながら実は信託基金の設置であることを隠していないので、その可能性は大きいだろう。

しかし、このような禁漁の保護区を制定しても魚を取らないのは日本漁船のような法を遵守する漁船だけで、違法漁船は無視するであろう。そんな違法漁船を取り締まる能力が、1600人の人口のニウエにあるとは想像できない。

 

 

<参考ブログ>

 

 

  

<追記>

ニウエの知人に聞いたところ、監視能力は現在ゼロだが最近小さなボートをニュージーランドから送られたそうである。これを動かす人員もいないので、訓練中とのこと。Seach and Rescueなので海洋保護区の監視とは関係なさそうだが。

 

NZ to provide Niue with new search and rescue vessel

8 September 2017

http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/338985/nz-to-provide-niue-with-new-search-and-rescue-vessel

 

Maritime safety boost for Niue

15 September 2017

http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/339443/maritime-safety-boost-for-niue

 

 

Niueans trained to sail new SAR vessel

13 September 2017

http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/339304/niueans-trained-to-sail-new-sar-vessel