やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

世界最大の違法操業国は中国だ!

米国の The U.S.-China Economic and Security Review Commission 米中経済・安全保障問題検討委員会 から6月14日に出た太平洋における中国の影響を調査した報告書が話題になっている。
 CHINA’S ENGAGEMENT IN THE PACIFIC ISLANDS: IMPLICATIONS FOR THE UNITED STATES
https://www.uscc.gov/Research/china’s-engagement-pacific-islands-implications-united-states
 このブログで書いて来ていることばかりである。筆者は3人の若手研究者。スタッフレポートとあったので期待しないで読んだのだが読み出したら止まらなくなった。
これは外務省大洋州課必読です。重要なことは米国が太平洋島嶼国の問題を認識し始めた、ということです。
 今回の島サミットでも議案になった違法操業。違法操業と言えば漁業大国日本と、日本のメディア、NGOが日本叩きをしている無責任さに微力ながら声をあげて来た。
この報告書には明確に世界最大の違法操業国は中国、と書いている。
 9ページにあるコラムだ。
・2012年から2014年に中国は遠洋漁船を1830隻から2460隻に増加。
・西太平洋のマグロ漁船。中国は2010年の244隻から2016年には418隻に増加。
・2000-2011年、毎年違法操業で4.6millionメトリックトンを中国漁船がとっており、これは申請した数より12倍多い。
 現場を見ているとわかるのが、中国漁船と太平洋島嶼国の政府がつるんでこのような違法操業を推進している事だ。
なぜ、日本漁船ばかりが目立つのか?しっかり規則を守ってVMSという装置をつけ、オブザーバーという監視員を乗せているからである。日本漁船を拿捕するれば大人しく法遵守するし、親会社が日本から飛んで来て言い値の保釈金まで払う。
中国漁船はそんな規則は守らないし、捕まえても誰も引き取りに来ないし、漁師が伝染病を持っている可能性もあるし、袖の下はすぐくれるし。。 
太平洋島嶼国の法執行能力を知っていれば、それは取り締まらないのは当然である。