やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

読書メモ『南洋委任統治問題』(「立作太郎、国際連盟協会発行、昭和8年3月)

ハウスホーファーの「太平洋地政学」読みながら、横道に逸れ、ドイツ地政学(即ちハウスホファーではないか?)の影響を受けたらしい蝋山政道の論文を矢内原先生が「自殺的矛盾」と批判していたのを思い出して、矢内原の「南洋委任統治論」を再読したところ、同論文の前半は立作太郎先生の『南洋委任統治問題』を扱っていたことがわかった。

立作太郎先生の南洋論。国際法勉強していて読まないわけにいかない。

『南洋委任統治問題』は国会図書館デジタルライブラリーでアクセスできるので印刷して読んでみた。立先生のベルサイユ条約国際連盟規約の法解釈は2日かけてじっくり読んだ。ここにまとめられるほど理解できていないが面白かった。国際法勉強してる、と実感。

等松春夫著、『日本帝国と委任統治南洋群島をめぐる国際政治1914-1946  も手元にあったのでざっと目を通したが、この立先生の委任統治に関する法解釈が日本政府の見解として国際連盟に伝えられ、矢内原が指摘したように国際情勢、即ち主に英国の自治領の関係があったようで、日本の委任統治は脱退後も無言のまま連盟に受け入れられたのである。

ちなみに、イアハートの件で、日本が国際連盟脱退後も南洋統治したのは国際法違反だと絡んで来た欧米人がいるので、ベルサイユ条約119条と国際連規約22条の法的解釈知らないのですか?と返したら黙っている。

国際法って外国人と喧嘩するとき役立つとは知らなかった。