やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

初めての札幌ー台風・地震・中国人そして国際法学会と北大文書館(2)

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大統領の私的人事としてパラオ国内で閣僚その他大勢から批判されてるパラオ政府代表。今回BBNJでファシリテーター役。

 

国際法学会でBBNJの日本政府アドバイザーを務める西本健太郎博士の発表があることを知って参加することを決めた。

BBNJ -国家管轄権外区域の海洋生物多様性が国連で議論されておりどうやら太平洋島嶼国はメインアクターなのだが彼らの発言内容が意味不明、というか相当問題であると感じているからだ。

一度外務省関係者に確認したことがある。

「太平洋島嶼国、小島嶼国はよく発言していますが、BBNJが何もわかっていないし、要求ばかりしていますが、何を要求すればいいのかもわかっていないんじゃないんですか?」

「そうそう、その通り。領海、EEZ、管轄権外の意味さえわかっていない。」

やっぱり。

この状況は一向に改善されないどころか悪化の一途の様子なのだ。

海洋生物多様性の中に「海洋遺伝資源」という要素がありこれこそBBNJ議論の発端で科学的知見の集大成なのだが、なぜか太平洋島嶼国は「伝統的知識」を主張して隣接性と共に自分たちの権利を強調している様子。どう考えてもBBNJと「伝統的知識」は繋がらない、と思って西本博士に質問してみた。

国連事務局は「伝統的知識」を文書に優先度を低い表現で残しているようだ。ここで相手が「海洋遺伝資源」とは何か例えわかっていなくても国家平等原則が働くのであろうか。

そして内政不干渉原則。

パラオの海洋保護区が良い例だ。EEZは自分のものと思い込んでいる太平洋島嶼国に日本が干渉する余地はほぼない。本当は自由連合を締結する米国が指導すべきなのだがオバマ政権は自ら大統領令でメガ海洋保護区を拡大してきた張本人だ。

結果、相変わらず太平洋島嶼国は何も知らない。議論についていけない。どうしているか。グリーンピースやピューなどの国際NGOが小島嶼国の政府アドバイザーとして参加しているのだ。即ち、世界の25%の票を占める小島嶼国の意思決定権限は国際NGOが大きな力を持つことになる。これも西本博士が国連の協議の現場で観察された事であるし、私は30年間観てきた事である。

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