やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

犯罪の楽園パラオー日本政府インテリジェンスの皆さんへ

「早川さんのブログ見て、太平洋が楽園でないこと。レメンゲサウ大統領を神格化してはいけない、ということを学びました。」

ある政府組織のインテリジェンスの方からのメッセージだ。

複雑な心境だがそれが現実だ。

太平洋島嶼国の法執行能力、法遵守精神はない、に等しい。美徳ではないのだ。これは島嶼国社会、即ち閉じられた親戚、家族社会が理解できると、批判するような事ではなく、当たり前の話なのだ。

太平洋島嶼国、独立はしたもののお金がない。人がいない。

例えば犯人を捕まえても牢屋がない。あってもお金も人材も十分ではないから管理できない。

 

法執行を行う検察官を更迭する事なんて朝飯前。数年前もレメンゲサウ大統領のお友達が関係する人身売買、売春の摘発をしようとした検察官が辞任させられた。検察官は米国人だ。パラオ人が犯罪取り締まりに関わると自分や家族の命が狙われるのだ。

下記はニュースに残っている。彼もパラオの闇を見て任期前に自ら去った検察官だ。地元メディアも命が惜しいので本当の話までニュースにしない。

<追記>石原慎太郎さんが『秘島』という小説を書いています。これを読むと理解できると思います。事実はこの小説より奇なり、です。

 

よくよく考えて欲しい。太平洋島嶼国が西洋諸国の植民地となる前は楽園だったのか?争いは常に行われ、医療もなかった。ブッシュドクター以外は。自然災害があっても誰も助けてくれず飢え死にだ。食人の習慣もそんな遠くない時期まであった島々もある。

太平洋島嶼国の独立はそこに世界中の犯罪を招き、腐敗と汚職を上塗りした、さらなる地獄のような状況を作り出しているのだ。