やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

女王様の太平洋

白豪政策とインド太平洋構想

今回来日したチャタムハウスのクレオ・パスカル女史もオーストラリアへの不満を示していた。他方、オーストラリアも一枚岩ではなく、学者、外務省あたりと、パスカル女史の事業に助成している豪州国防省は全く違う認識である、とのことだ。 そういえば、先日…

矢内原忠雄の帝国主義研究 2週間の読書メモまとめ

この2週間の読書メモ。 こんなに読んで書いたんだなー。なんか勉強したという幻想、錯覚を覚える。これでチャタムハウス対応万全。自分用のメモだが、読んでいる方もいると知って途中気合いが入った。

矢内原忠雄の帝国主義研究(4)全集1巻

大英帝国の残影、チャタムハウスの襲撃を受け、急遽コモンウェルスの本を読み「帝国主義」って何?とその定義、議論を知らない事を認識し(知らない事の認識って重要なんですよ)矢内原の帝国主義研究をこの2週間追ってきた。じっくり読むとまではいかない…

ベルツの日記 読書メモ(3)第4編教職を退くまで

ベルツの家族 ベルツは日本人のハナさんと結婚して日本を第二の故郷とし、日本政府との当初2年の契約が26年になったのである。 26歳で日本に渡り、53歳で帝国大学を退職するが、その後3年宮内省侍医として勤め、1905年、56歳でドイツに帰るのだ。 読めば読…

アダム・スミスの植民論(5)水田洋

同志社大学の「CiNii Articles」というサイトで「スミス」「植民」といキーワードを入れて出てきたのが34件の論文の中に水田洋氏の論文もあった。アダム・スミス研究の世界的権威である。(水田洋氏の本は以前読んだことがある。今99歳でお元気なようだ) ア…

<緊急提言>ソロモン諸島の中国対応策ー日米豪英で対抗せよ!

ソロモン諸島が台湾との断交を決定してしまいました。落ち込んでいてもしょうがありません。対策を提案します。 ソロモン諸島、中国から500億円の援助と共に台湾と断交。国連総会でペンス副大統領が同国首相と会談の予定だが、中国は全てお見通しで前倒し…

Can we re-marry? 新たな日英準同盟に向けて

月曜日の夜、同志社大学の研究室からジュネーブに住む英国人と日英準同盟を議論していた。翌日まとめて質問を投げかけたら回答があった。 公開して良いというので下記にコピーします。 Can we re-marry? Why did you want to marry us after we had beaten R…

チャゴス判決(4)玉田大教授の分析

チャゴス判決に関して先月末に神戸大学玉田大教授の論考が出ていた。 玉田大。「チャゴス諸島分離の法的帰結」判例時評(法律時報)。 2019.06.28 「大国の横暴に翻弄された小国を助ける、という判官贔屓の構図が最初から出来上がっていたと言えよう。」 こ…

ブリタニアに戦く中国 ー イギリスのインド太平洋構想

太平洋を訪問される英国王室の動きは追っていたが、イギリスでのインド太平洋構想、海洋安全保障の動きはここ数日、初めて追っている。まさに激戦の真っ最中に訪れてしまったようだ。 まずは42歳の若手Gavin Williamson防衛大臣のRUSI(英国王立防衛安全保障…

世界の脅威へ向けた英国の防衛政策

Gavin Williamson on Transforming UK Defence to Meet the Global Threats of Tomorrow 2月8日にパスカル女史が発表をしたRUSIで英国防衛相の「世界の脅威へ向けた英国の防衛政策」に関するスピーチがあった。 これに関する批評がどんどん出てきている。賛…

太平洋島嶼国での英国の役割

チャタムハウスからの太平洋島嶼国議論。 New Diplomatic Posts Could Give UK a Fresh Path to Influence 11 May 2018 https://www.chathamhouse.org/expert/comment/new-diplomatic-posts-could-give-uk-fresh-path-influence サモア、トンガ、バヌアツに…

英国外交使節再開設の意義・意味(2)

Cleo Pakal女史の諸手を上げて歓迎する論調と比べ、こちらの二人の女性博士の論調は若干慎重である。 Dr Tess Newton-Cain と Dr Anna Powlesの、英国外交使節再開設に関する記事である。 A Pivotal Moment? The UK Signals Re-engagement with the Pacific …

英国外交使節再開設の意義・意味

先週、ロンドンで開催された英連邦会議で発表された9カ国の英国外交使節開設に関して、Cleo Paskal女史のコメントが出た。 一つは豪州ローウィ研究所から。 Britain’s new Pacific presence 24 April 2018 https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/a…

速報!女王様の太平洋復活ー英国外交使節が再開

このブログに「女王様の太平洋」というカテゴリーを設けて正解だった。 英連邦会議がロンドンで4月16−20日開催されている。 https://www.chogm2018.org.uk ここで英国が下記の9カ国に外交使節を再開することをボリス・ジョンソン外相がアナウンスした。 Le…

日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較―

ウェブサーフィンしていて偶然見つけた論文である。 日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較― 鶴岡 路人、防衛研究所紀要第 19 巻第 1 号(2016 年 12 月) http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j19_1_6.pdf…

インドと太平洋を繋げる女王様

英国及び、英連邦の動きが見逃せないので、いよいよ新しいカテゴリーを設けました。 「女王様の太平洋」です。 さて、京大での研究会で質問を受けて答えきれなかった点がインドと太平洋の関係。 インド太平洋戦略の重要なアクターであるインドは、太平洋島嶼…