太平洋の事を学ぶという事は、島嶼国の事よりも米国、英国、フランスの事を学ぶ側面が強い。島嶼国理解はまた違った枠組みになる。
特に米国は米領サモア、ハワイ、グアム、サイパン、そして自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国が太平洋にある。
同志社大学に2017年に入学し、初年度には村田先生の授業でハリウッドの授業を聴講させていただいた。太平洋の海洋問題を現場で扱っているとハリウッド俳優のデカプリなどが出てくるのだ。そして彼らの名前で大きなお金が動き、海洋ガバナンスが動くのである。
これが「セレブリティディプロマシー」という学問分野で研究が進んでいる事を知った。できれば博論の一節で議論したいと思っている。
昨年米国の情報機関から招聘を受けて、米国の事を知らない事を反省した。一つ目の博論は太平洋をめぐる米国の通信衛星の話なので部分的には知っているが全体像がわからない。
同志社にはもう一人、米国研究第一人者の阿川尚之先生がいらっしゃる。「軽い」気持ちで聴講したら、なんとマルクスを扱うとのこと。そして私が余計な事を言ったためにローレンツ・フォン・シュタインを連休の10日間勉強することになった。自分で墓穴を掘ったのだが楽しい穴掘りだった。
そんな話を阿川先生にしたら米国の事は憲法史を書いていると教えていただいたのが『憲法で読むアメリカ史』。夏休みに入った研究室で上下2巻の新書を読みながら、ああこういう事を実は学びたかったんだよねえ、と思った。
米国の独立はフランス革命の10年ほど前なのだ。「自由と平等」を共に唱っているはずだが、米国はフランス市民がギロチンに送ったルイ16世の支援を受けている。一体、ルソーの自由思想はこの二つの大国の国家誕生と形成にどのように影響したのか?
興味深いことにフランス革命の後「外国人煽動取締法」を米国は制定し同革命の影響が合衆国に及ぶを防いだのだ。(上巻101ページ)
そして米国が幸運だったのは、ロベス・ピエールは存在せず、代わりに3人のフェデラリスト、特にジェームズ・マディソンの存在が大きかったのではないか?
「野望には野望を持って」と語るマディソンは人民の自由は二つの権力すなわち州と連邦政府の権力によって守られそれを国家理念することが説かれている。(私の勘違いかもしれません!)(上巻82−93ページ)
自由と平等を唱った米国は、皮肉にも黒人の自由と平等を奪った奴隷制度と人種差別の中で形成されて行った。お恥ずかしながら南北戦争の手段であった奴隷解放が戦争目的になり、憲法修正にまで至る過程を初めて知った。修正第13条:奴隷制廃止(1865年)だ。ここら辺の動きが戦後の日本への対応に似ている、という。
慌てて戦争目的も作り上げたのではないか。日本から守ろうと思った中国は共産主義国家となっていく。なんで広島に原爆落としたの?戦前米国務省に潜入したコミンテルンの反日プロパガンダにその頃は米国政府も気がついていたのかもしれない。だから日本を徹底的に悪者にしておかないと説明がつかない?
人種差別が撤廃の兆しを見せるも1890年代に再度強化される。その背景の一つに、ハワイ、プエルトリコ、フィリピンの領土獲得がある。インシュラケースだ。これは一つ目の博論で触れた件なので知っていたが大きな歴史の流れで認識できた事は大きい。
大きな米国の歴史の流れの中で認識できた法律がもう一つある。1878年に制定されたPosse Comitatus Actだ。米国沿岸警備隊の存在と関係がある。南北戦争が背景にあると何処かで読んだが、1867年に制定された軍事再建法の事をこの本で初めて知った。南北の緊張がなければ、なかった法律であり、これが日本の海保の存在にも影響を与えている。(しかし日本の場合は全く違う背景で)
阿川教授のゼミは面白い指定がある。サブノートを作れという指示だ。気が付いたらこの本のメモが20ページ近くになっていた。久しぶりに書いた字は汚い。
ブログにまとめた方が後で検索しやすいし、コピペも簡単。