今回「仮想通貨犯罪」しかも中国人による犯罪でバヌアツと日本が結びついてしまった。Plustoken という投資商品は世界中を相手にしていたようだが、日本も大きなお客さんだったのであろう。利子が10%とか書いてある。
バヌアツと日本の関係を少し整理しておこう。
1. 縄文土器とラピタ土器
バヌアツの人類の歴史3千年の中で、縄文土器に似たラピタ土器が多く発見されている。考古学者ジョゼ・ ガランジェ博士が手元にあった土器が縄文土器ではないかと示し、日本人の考古学者篠遠嘉彦博士がその可能性を議論しようとしたところ民博のナントカとう女性の教授が頭ごなしに否定してしまい、メディアはそれを信じたのだった。私は篠遠博士を存じ上げている関係でその時真ん中に入って嫌な思いをした。しかしどうだろう?人間の認識と現実は大きくかけ離れていることがある。誰も地球が回っているとは信じなかったし、誰も太平洋諸島の人々は南米から薩摩芋を持って渡ってきたと信じていたのだ。太平洋諸島の人々が台湾あたりから拡散したことを釣針の研究で証明したのが篠遠嘉彦博士である。
2. バヌアツ国家を背負う日系人
今までのブログでバヌアツがどんなところかお分かりいただけたと思う。100の島に100の言語。国家として初めての統一が1980年の独立だ。そんなバヌアツ国家をどうにか動かしているのがベンジャミン・シンさん。最初「シン」というから中華系かインド系かと思っていた。なんと「シンジ」という日本人を祖父に持つ家族だった。戦前バヌアツには30人くらいの日本人移民がいた。みんな地元の女性と結婚して家族を持ったのだ。ところが戦争が始まると財産は全て没収され父親はニューカレドニアかキャンベラのカウラの日本人収容所へ。残された家族に会うことはなかった。「シンジ」ファミリーの一人が現在国立文化センターの所長だ。
バヌアツの歴史は現外相のラルフ•レゲンバヌ氏が監修した教科書(3巻)がある。ここにも日系移民の話が出てくる。この本もバヌアツ理解の必須アイテムだ。(Lightner, S. and A. Naupa. 2005. Histri Blong Tumi Long Vanuatu: An Educational Resource, Vol. 3. Port Vila: Vanuatu Cultural Centre.)
3. 国父、リニ首相の日本への思い
今度新たに設置された日本大使館の皆さんにはぜひこの本だけは読でいただきたい。"Beyond Pandemonium - from the New Hebrides to Vanuatu"
以前書いたブログから引用します。
この自伝の中でリニ牧師が子供のころに父親から聞いた話が出てくる。
ミュージカル『南太平洋』の舞台となったバヌアツに日本軍が一度だけ爆弾を落とした。そして敵軍に撃ち落とされ、日本軍捕虜がサント島で勾留されていた。その現場をリニ牧師の父親が見ていて、後々まで、連合軍の日本人捕虜に対する虐待を語っていたという。その部分を下記に引用しておく。
"My father still talks about the bombs that the Japanese dropped on Santo and still remembers vividly the concentration camp where the Japanese were kept and ill-treated. "
一歩先に独立を果たしたパプアニューギニアの大きな影響を受けたリニ牧師とその同志である。リニ牧師が自伝にわざわざ日本人の事を書いた真意を、穿った見方かもしれないが、日本への某かの期待があった、また今でもあるのではないか考えてしまう。
英仏に搾取されてきたバヌアツ。中国は支援してくれるが怪しい事ばかりしている。日本に期待しているに決まってるではないか!