やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

私をインド太平洋構想に導いた衛藤晟一議員

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 太平洋を渡り歩いて30年の私が一気に安倍政権の「インド太平洋構想」に範囲を広げるきっかけを作ってくれたのが衛藤晟一議員なのである。

 先月シンガポールの学会で発表のリハーサルをしながら思い出していた。

 2017年4、5月。私は古屋圭司議員が会長を務める島嶼議連と海洋議連に続けて呼ばれた。古屋議員が中座しますとご挨拶されたに拘らず最後までいらしゃってしかも私の目をじっと見つめて「もう一回やって欲しい」と言われたことは以前書いた。

 議連での講演会の時、私の右には古屋議員が、左には衛藤晟一議員が座っていたのだ。そして古屋議員の言葉あと、江藤議員からもじっと見つめられて

「早川先生。安倍政権のダイヤモンドセキュリティと太平洋諸島は繋がらないか?」と聞かれたのである。

 安倍総理の「ダイヤモンドセキュリティ」数年前に読んだことがあるが、なにやら刺激的な内容で話題になっていたくらいしか覚えていない。

「太平洋島嶼国はアジアに比べ軍事的なアレルギーはないと思いますが。。」

と答えて後で反省した。安倍総理のダイヤモンドセキュリティ論文は民主主義と自由な経済発展の話なのだ。そしてインドの王子様がインド洋と太平洋を結ぶ話。。

 衛藤晟一議員って安倍総理の右腕、側近。言葉の重さを感じ、そして自分の不勉強を反省し、ダイヤモンドセキュリティ論文を100回位読んで2回目の講演会に臨んだ。その時やはり私の右には古屋議員が、そして左には江藤議員が座られたのである。

「前回、江藤議員から宿題をいただきました。安倍総理のダイヤモンドセキュリティであります。このダイヤモンドで囲まれる広大な海洋には14の島嶼国が、主権国家が存在するのです。問題は彼らは自ら開発も管理もできないEEZを抱えそこが無法地帯となっていることです。次に、安倍論文ではインドの王子様がインド太平洋の海をつなげる話が出てきますが、実は数千年前にこの二つの海を実際に繋げた、すなわち植民したのが太平洋諸島の人々の祖先なのです。東はイースター島から、西はマダガスカルまで船で一気に拡散した海洋民族です。日本にも来ています。多分、きっと。(これが神武だと言おうかどうか迷ったが言わなかった)」

 これで島嶼議連が動き、安倍政権のダイヤモンドセキュリティ論文がインド太平洋構想の広義の海洋安全保へと展開して行ったのである。

 大物国会議員、2人から見つめらる経験。あれはなんだったのだろう?未だに夢だったように思える。でも現実だ。その事は私の人生を変えた、と思う。