やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

アダム・スミスの植民論(4)榎並 八幡論文

 アダム・スミスの植民論。最後の3本は90年代の榎並論文と2年前の八幡論文。

 詳細に見ていけば、今まで読んだ論文と違うのであろうが要点は植民地との貿易、関税のあり方。植民地を分離か連合かどのように扱うか、という内容は同じだ。植民が悪いとは書いていない。どう植民するかしかスミスは議論していない。

 当てずっぽうにピックアップしたのがいけなかったのかもしれないが、スミスの植民論は議論が尽くされている、というのはどういう意味であろう?

 本来ならば、スミスの植民論を参考にしたはずの日本の植民政策とスミスの理論がどのように合致していたか、異なっていたかの分析はあるはずだ。そもそもスミスの植民論を知っていたら「植民は悪いことで併合は違う」なんて「私何も勉強していません」と自らバラすような話はしないはずなのである。

 なんとなく、誰も研究していないのではないかという気がしてきた。

 

アダム・スミスと北アメリカ植民地問題 / 八幡 清文, Kiyofumi Yahata

国際交流研究 : 国際交流学部紀要 (18), 179-214 (2016-03) フェリス女学院大学国際交流学部紀要委員会
 
アダム・スミスの北アメリカ植民地発展論 / 榎並 洋介
星薬科大学一般教育論集 = Hoshi journal of general education (14), 31-60 (1996) 星薬科大学
 
アダム・スミスのアメリカ植民地論 : 併合か分離か / 榎並 洋介
星薬科大学一般教育論集 = Hoshi journal of general education (12), 15-39 (1994) 星薬科大学