やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

クニオ・ナカムラ大統領の遺産(3)レメンゲサウ政権の環境保護懸念

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ナカムラ大統領の任期は1993−2001年で4年の任期を2期務めた。その座を副大統領としてナカムラ氏を支えた現大統領のレメンゲサウに譲ったのである。

しかし、レメンゲサウ政権は環境保護を、時の流れに沿って強く押し出した。これにナカムラ大統領は強く反対していた。

さらに2013に異例の再選を遂げたレメンゲサウが強行に進めたのが海洋保護区だ。パラオの全EEZを禁漁区にする法案である。自身が水産会社を経営していることもあるがナカムラ大統領はこれに強固に反対した。公共のフォーラムなどでも声をあげていた。

しかし海洋保護区は金に目が眩んだ国連、セレブ、NGOなどの支援を受けて通過してしまったのである。

これが今回の大統領選の主要論争である。

この海洋保護区は海洋の保護とは一切関係なく、信託基金を設置し世界からお金を集める制度だ。もともとはGregory S. Stoneという海洋科学者がキリバスに広大な海洋保護区を作り魚を取らない代わりに信託基金を設置することを思いついたのが始まりある。

もちろんキリバスに監視能力はなく絵に描いた餅であった。そのままキリバスは中国の支援を受けることになったのである。フィジーへの移住計画も投資話でしかないのに、おばかな日本のNGOが批判精神なく取り上げていた。

さて、今回の大統領選で海洋保護区に反対する候補が大統領になれば、ナカムラ大統領の意志は引き継がれるのである。

EEZは沿岸国が独占するものでは、ない。そんな基本的なことを知らずにメディアで嘘を垂れ流しているのが海洋国家日本である。

「日本はしっかりしろ!」

ナカムラ大統領の声が天から聞こえてくる。

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