第40回太平洋諸島フォーラム(PIF)年次総会議事録より
2009年8月5―6日、オーストラリアのケアンズで第40回フォーラム年次総会が開催された。本日同総会議事録が発表されたので下記に概略を報告します。
今後1年は豪のラッド首相が議長国としてPIFの活動を主導。来年はバヌアツの予定。
全28議案の内、海上保安庁に関係するのは、Pacific Maritime Security, Fisheries, Pacific Patrol Boat Replacement Programの3議案である。
1.Pacific Maritime Security (議事録項目3)
豪、ニュージーランド政府及び地域機関、国家所轄機関が協力し太平洋の海上安全保障の強化に努める事を確認。
(補足説明)本総会の主要議案である気候変動を後にして、トップの議案として記録されている。なぜかというと、本総会開催中の8月5日夜半、トンガで79名を乗せた客船が沈没。未だ二十数名が行方不明という事故が起こったためだ。王立ニュージーランド空軍が救助に当たっている。
沈没した船は70年代日本で製造された「あしか号」。中古船としてしばらくフィジーで活躍した後、今年6月にトンガに譲り渡されたばかりである。
今年1月に開設した在トンガ王国日本大使館は、2011年に約20億円の新しい船の寄贈を約束していた。
2.Fisheries (議事録項目15~19)
・域内の漁業資源をWCPFC, FFAの地域機関が中心となって管理すること。
・地域フラッグによる監視体制であるニウエ条約等を活用した地域協力の促進。
・2010年初頭に豪政府が主催し、太平洋島嶼国(PIC)の漁業省、法務省の閣僚を集め新たな法整備と交渉への指針を協議する。
3.Pacific Patrol Boat Replacement Program(議事録項目59~60)
豪政府が提供しているPacific Patrol Boatの老朽化に伴い、豪政府が新たな海上安全保障プログラムに基づいた支援を検討。PICの首脳はこれを歓迎する。ニュージーランドの海上監視活動も引き続き歓迎する。
(補足説明) PPBの開始は1979年に遡る。200海里制定に先駆け、太平洋島嶼国も自国の海域を宣言したものの、それを監視する能力がなく、オーストラリア、ニュージーランドに支援を要請したのがきっかけである。
当初、オーストラリア政府は5カ国対し10隻を寄贈することとしたが、1997年までに島嶼国12カ国に対し、22隻、115.25 million豪ドルに相当する監視船を提供。
議事録全文
(文責:早川理恵子 2009.8.7)