やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋島サミットー海洋外交を優先議案に

太平洋島サミットー海洋外交を優先議案に

 

 11月15日、外務省から来年の太平洋島サミットへ向けた提言が発表された。

 1ヶ月程前、外務省から突然連絡をいただいた。この提言に向けて意見が欲しい、という内容であった。なんでも笹川会長からこのブログ「やしの実通信」を読む様に言われたらしいのだ。冷汗である。

 それで早速下記の3点を提案した。

  

 1)米国を関与させること

 2)海洋問題を議案に入れること

 3)沖縄の継続的役割。特に島嶼国のための特別奨学金の設置。

 

 これらは、自分のアイデアというより、恩師、渡辺昭夫東大名誉教授のご意見を反映している。

 

 先日、外務省から提案書ができました、とご連絡をいただいて見たらびっくり。この3点が全て入っている。特に海洋外交がトップに入っている意味は大きい。

 私は2008年から太平洋島嶼国の海洋外交に舵取りをしている。

 

 以前書いた様に1997年から開始した太平洋島サミットの背景にはプルトニウムの海上輸送に対する島嶼国からの公式な非難があった。正確には太平洋島サミットのカウンターパートでもあるPIFからの非難声明である。1992年から2006年まで15年も続いた。

 外務省の文書には書けないかもしれないが、太平洋の海に、即ちそこに住む人々に、負担を、迷惑を日本がかけている事を忘れてはいけない。

 放射能だけではない。今この時もミクロネシアのチュックの環礁に沈んだ戦中の日本船から重油は流れ出している。同じく戦中に残した不発弾も太平洋の人々に危害を与えている。

 この提言には全く触れられていないが、漁業外交についても省庁を越えた協議が必要であろう。太平洋島嶼国にとって日本と言えば漁業資源なのだ。水産庁の宮原次長が昨年提案したシップライダー式の漁業資源管理は是非復活すべきである。これを廃案にして何が起ったか。言うまでもないがシーシェパードを招く結果となった。

 

 2008年に笹川会長、羽生会長が私に全てを託して始まった太平洋島嶼国での海洋外交。とうとう日本政府も同じ方角に舵取りをすることになったようだ。このブログもお役に立っているようで幸いです。

 

 

第6回太平洋・島サミット(PALM6)に向けた有識者会合提言書の報告及び「フラガール」に対する親善大使の委嘱状交付

 

【正論】日本財団会長・笹川陽平 太平洋島嶼国との共同体を

2008/05/06 産経新聞 この記事は私のアイデアであり、実現しているのも私です