ハウスホーファーのインド太平洋を読んでいると、日本からの影響が大きい事がわかる。が実際にどのような影響があったのか?ハウスホーファーは日本で後藤新平に会っている。であれば後藤新平の地政学に影響を受けたはずだ。その後藤は義父の安場保和、そして福岡の玄洋社とも繋がりがった。
後藤は伊藤博文に日韓併合とロシアのウラジーミル・ニコラエヴィッチ・ココツェフとの会談を説得した「厳島夜話」で「大アジア主義」を披露している。伊藤は乗ってこない。
「大アジア主義」は人により、時代により多様に議論されているようだが、後藤の「大アジア主義」はどのような内容なのか?玄洋社との繋がりは?
昨年末そんな疑問が湧いてきて、玄洋社、頭山満の資料を探していたら私の青春、ユーミンに繋がってしまった。その後「島サミット」があったので、玄洋社や頭山満の「アジア主義」の事はそのままになってしまった。
ハウスホーファーも読みきれていないのだが、まずは玄洋社の「アジア主義」を探ってみたい。
最初に手に取ったのが昨年出たばかりの浦辺登著『玄洋社とは何者か』(弦書房、2017年)だ。
いかに玄洋社が戦後のハーバート・ノーマン始めGHQに歪められてきたかがわかる。そして玄洋社自体も多様だし、東条英機との関係も微妙だ。ちょっとここに簡潔にまとめることはできない。
印象に残った箇所がハリマン事件だ。あの時ハリマンの鉄道提案を日本が受け入れていれば、という言説はよく聞いていた。「そうだったんだろうな、小村寿太郎はしょうがない」と思っていた。同書、「第21話ジャジャ馬娘がつぶした桂・ハリマン密約」は全く違う状況を書き出している。ハリマンの成金旅行とジャジャ馬娘の旅順での無礼に案内役の松本健次郎がキレる。詳細は本文を読んでいただきたいが、これが本当であれば納得だ。
もう一箇所は中野正剛が東条英機を、ガダルカナル、アッツ島の玉砕の責任を追及したことで自決に追い込まれる箇所だ。
この本にはアジア主義に詳細はない。孫文、ボーズを支援した事が触れられているだけだ。 次は『頭山満伝』を読む。