『頭山満伝』を読み進めている。読み出すと眠れなくなるので昼間読むことにするほど面白い。
第3章「一人でも淋しくない」にはさらに多くの登場人物が出て来て、しかも右左と入り乱れ、何が何だかわからない。
一点わかったのは頭山はイデオロギーで動く人間ではなかったということだ。自由主義ルソーにかぶれた学者、運動家もいて玄洋社は民権運動を掲げていた。しかし頭山は「日本の取るべき道は、民権伸長ではなく、国権拡充である。」とある日明言する。
何があったのか?
明治19年に福岡に着任した安場保和である。横井小楠の四天王の一人で後藤新平の義父。ここで玄洋社は国家主義に転換するのだ。この組織の転向は自由民権運動に命をかけてきた同志の憤死もあった。
明治22年2月11日の帝国憲法発布。民権を掲げる反政府勢力は分断されたのだ。
君子豹変か。頭山は自由主義の「イデオロギー」を見破ったのではないか?