このブログで海洋法条約を議論する能力も勇気もないのだが、なんとなく一般大衆が国際法に正義が、正しい事が書かれていると誤解しているのではないかと思い、紹介だけしておきたい条項がある。
海洋法条約121条の島の定義である。たった3項のこの条約について、私は昨年坂元茂樹教授のゼミで前期の十数回の授業で学ばさせていただいたのである。
何を?
ー 「耐え難い程不正確で、混乱と紛争を導く完全なレシピ」 でるあこと。
南シナ海仲裁判決の重要な条項である。それが ー 耐え難い程不正確で、混乱と紛争を導く完全なレシピ なのである。
私の結論ではありません。誰がそんな事を言ったのか?
ブラウンさん。
"a perfect recipe for confusion and conflict‟ "is also intolerably imprecise‟.
Edward Duncan Brown, The International Law of the Sea: Introductory Manual (vol 1, Dartmouth 1994)
実はこの「耐え難い程不正確で、混乱と紛争を導く完全なレシピ」 を入れたのは太平洋島嶼国なのだ。これは博論に書く予定。
第 121 条【島の制度】
1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
2 3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用され るこの条約の規定に従って決定される。
3 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しな い。
参考文献
国際問題2018年9月 No.674
焦点:海洋法の新展開と持続的発展
The Enigma of Article 121, Paragraph 3: The Way Forward? ERIK FRANCKX
http://www.maritimeissues.com/uploaded/EU/1_Erik%20Franckx_Article%20121_maritimeissues_com.pdf