カール・シュミットの帝国主義論のメモを書いている最中に偶然みつけた論文。
鈴木敬夫。「国家主義と寛容 : 中国にみる『敵・味方論』の不寛容を問う」
専修総合科学研究、24巻 2016年。
なんと、中国では熱く、カール・シュミットが議論されているのだ。2004年から10年の期間にシュミットに言及した論文は400篇近い、という。
長尾氏が「ナチ学者を和訳する理由」を後書きで弁解する事が気の毒の思える。日本のシュミット研究はどうなっているのであろう?少なくとも中国がシュミットを真剣に議論している事は知っておくべき、特に国際法を学ぶ者としては。。
この鈴木氏のペーパーの中に、シュミットの「ラウム改革」「グロース・ラウム」を「大東亜共栄圏」に重ねて議論したのが小野清一郎である事が書かれている。ここは大アジア主義や現在議論されているインド太平洋構想、そして一帯一路とも関係して来るので、後で調べてみたい。
小野清一郎 「大東亜法秩序の基本法」
藤団重光の批判的論文「小野清一郎先生の人と学問」『ジュリスト』1986.6.1,62頁
日本のシュミット研究者で古賀敬太教授がいる事も知った。シュミットはローレンツ・フォン・シュタインの研究もしており、キール大学ローレンツ・フォン・シュタイン行政学研究所ができたのはシュミットの生徒の功績、とどこかで読んだ記憶がある。