やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サモア政権交代劇ー島国の政治・中国・FOIP(4)

昨年末、3つの重要法案が議会を通過した。
Constitution Amendment Bill 2020 、
Land and Titles Bill 2020, and
Judicature Bill 2020
各村首長の土地管理権限を強め、特別な裁判所を新たに設置するという内容。それは西洋の影響の強い個人の人権が主張されたものではなく、サモア伝統の慣習法に近い内容との政府側の見解。しかしサモア司法協会や国際的法律専門家達は反論してきたし、十分な議論がされないまま決議されてしまった。Fiame Naomi Mataʻafa 議員がHRPP党から離れたのはこの法案のせいだったはずだ。まだ、全体像が見えていない。
重要なのは下記の箇所。土地問題に関してはドイツ時代の法律が大きく影響している。しかしそれはドイツ人が押し付けるというより、植民者のドイツ人を上手に利用して策定されたものであろうことは、ミクロネシア地域でのドイツ植民者を巧みに島内政治に利用していく現地人の動きを知れば想像に難くない。
 以下関連文書から
「サモアの慣習は一度も成文化されていない。ドイツの植民地政府は、土地権利裁判所を設立するにあたり、敵対するハイチーフとその後ろ盾の慣習的権威を弱めることで、過去に蔓延した確執や内戦を防ぎたいと考えた。このような制限があるにもかかわらず、慣習的な土地と首長の称号は、国内外のサモア人にとって身近な問題である。裁判所に対する世論は、ある人の家族が直近の土地・タイトル裁判所の裁判で勝ったか負けたかによって大きく左右される傾向があり、首相のもとには負けた人の憤慨した声が多く寄せられている。」
 

 Samoa: Controversial Constitutional Reforms Passed | Global Legal Monitor

 

www.lowyinstitute.org

Samoa’s constitutional crisis: Undermining rule of law

 

Culture, constitution and controversy in Samoa | The Interpreter