やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

やしの実大学事業

自分の業績の一つに「やしの実大学」事業がある。 これは島で島を語る会、という事業をきっかけに開始したものだ。 当初は奄美大島、佐渡島、八丈島など持ち回りで会議を開催して行った。 その中で、奄美大島の松井輝美記者の紹介で八重山諸島の地元メディア…

「伊藤公」新渡戸稲造著『偉人群像』より

朝鮮の問題は全くの門外漢だし、あまり関心が湧かない。が、 ミクロネシアでの日本の統治、即ち日本の植民政策を学ぶ中で他の植民地である台湾、朝鮮の事も比較対象として気にはなる。なぜ、ミクロネシアであれだけ成功した植民が行われ今でも当時を知る島の…

世銀へのアドバイス

漁業資源管理のABCがわかっていなさそうな世銀に日本の外務官僚がアドバイスした話を前回書いたが、勿論実際にアドバイスされた内容は当方の素人見当とは全く違う専門的な内容である。 それでご本人に確認したところ、世銀にアドバイスされた内容とお名前も…

世銀がミスリードする漁業資源管理

第5回太平洋ツナフォーラムがフィジーで9月22−23日開催された。 ミクロネシア連邦のカツオ漁船拿捕事件、環境テロリスト組織シーシェパードや環境プロパガンダ組織PEWのおかげで魚の事に日々詳しくなっていくような気がしている。 それで、下記のフィ…

パラオの中国人

先週、パラオのチン議長、アンガウル州政府代表の中国公式訪問を以前取り上げた。 パラオと中国の関係はさらに強化されつつあるようだ。そしてその緊張関係も。。 パラオの中国人がどのような問題を起こしているか、地元評論家の興味深い記事があったので下…

パラオの海底通信ケーブル(4)

Courtesy of Island Times 9月21日の月曜日、大統領が海底通信ケーブル会社設置法にサインした。 この歴史的瞬間をこのブログに納めておきたい。 当方にとっては20年近い宿題だった。ナカムラ大統領、クアルテイ文部大臣(当時)、テレイ学長そしてパラオの…

ターンブル首相を取り巻く噂ーお金オタクで中共?

ラグビーワールドカップの日本の勝利で浮いている中、豪州のターンブル首相が初の女性国防大臣を指名したニュースを見つけた。 "Malcolm Turnbull names new ministry, promoting women and supporters" http://www.theguardian.com/australia-news/2015/sep…

ラグビーワールドカップ勝利の背景に太平洋が!

ラグビー世界カップ、日本の勝利に、日本がイヤ世界が感動している。 普段は観ないラグビーだがウェブで検索。 ン? どっちが日本?と一瞬迷った。外国人選手が結構いるのだ。 それも太平洋からの。。 チームリーダーはニュージーランド生まれフィジー人。 …

パラオの海底通信ケーブル(3)

パラオの海底通信ケーブルの件、多くの読者から貴重なコメント、アドヴァイスをいただきました。 改めて感謝致します。 9月15日、パラオ議会の委員長交代という、どんでん返しの末、無事に通信改訂法、具体的には海底ケーブル運営会社の設置が議会承認を…

パレスチナ問題で米国に忠誠を示すパラオ

パラオからもう一つニュース。 国連にパレスティナの国旗を掲げるかどうかの投票で反対に回った国は8カ国。 イスラエル、米国、豪州、カナダ、ツバル、ミクロネシア連邦 そして、パラオ。(一国足りない。多分マーシャル諸島) 棄権したのが独英を含む45…

パラオのチン議長アンガウル州政府代表中国公式訪問

パラオのチン議長とアンガウル州の政府代表が中国本土を訪問するという記事。 中国人観光客が激増し、人身事故も起っているが外交関係がない中国政府と対処に限度があり、パラオに中国政府の窓口を設置する事を協議するようである。また中国はアンガウル等の…

太平洋の気候変動問題がアボット退陣のきっかけ(かもしれない)

昨晩アボット首相が党首辞任に追い込まれた。 この急な展開のトリガーの一つが上記の太平洋島嶼国に関する移民大臣とのジョークだ。 マイクがオンになっている事を気づかず飛ばしたジョークが、まさか退陣につながるとは。。 ジョークは人種差別者のオースト…

PEWの食い物にされるパラオ

<政策とは過程なりーMPA議論> 笹川平和財団が姉妹組織の海洋政策研究財団と合併して、海洋問題が少し身近になったような気がする。 旧海洋政策研究財団の古川恵太博士に色々おバカな質問ができる。 聞くは一時の恥。聞かぬは末代の恥、なのでどんどん質問…

PEACESATとPARTNERS

米国がNASAの中古衛星を利用して無料で提供した衛星通信事業PEACESAT - Pan-Pacific education and communication experiments by satellite という事業がある。 笹川太平洋島嶼国基金は、PAECEATの再出発と2012年に同事業が終了するまで、様々な形で支援、…

独立を支援する大和魂

写真は左からベロニカ夫人、笹川良一氏、革命家ソマレ青年 日本がアジアの、世界の西洋植民地からの独立を助けたという話。 なんか眉唾のように思えていたけど、笹川良一氏がパプアニューギニアのマイケル・ソマレ閣下の独立運動を支援した話を知って納得し…

グリーンピースは西瓜だった。

「目を背けてはいけない、太平洋マグロ漁船で働く人々のありえない話。」 2015-09-03 国際環境NGOグリーンピース http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/53981/?utm_campaign=Oceans&utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_term=03091…

パラオの海底通信ケーブル(2)

パラオの海底通信ケーブル接続の件で、引き続き動いている。 当方にとっては15年越しの案件である。 起源はもっと遡る。 1988年、日本政府に10年先駆けて笹川平和財団が開催した太平洋島嶼会議開催の前後に(当方はまだいなかった)フィジーのカミセセ…

安倍談話と太平洋の島々(2)日本の植民政策論

安倍談話の件はこのブログに書くつもりはなかったが、評論家の江崎道朗氏から「あなたが書かなきゃだめだ。」と言われて書く事にした。 安倍談話の一つのキーワードと言われた「植民地」 これを語るには、新渡戸稲造を、矢内原忠雄を、そしてアダム・スミス…

安倍談話と太平洋の島々(1)日露戦争

安倍談話は早くから注目していた。 今でこそ技術が発達し、太平洋を取り囲む先進諸国は、途中給油の必要もなく広い太平洋を一跨ぎで飛び越えられる。 しかし、戦前は船の燃料や食料の補給基地、通信回線の中継基地として、太平洋の小さな島々は重要だったの…

「太平洋島嶼国のEEZ管理能力と国際協力の現状と可能性」

ミクロネシア海上保安事業を2008年5月に立ち上げてから7年が経つ。 その間、このブログを笹川会長の指示をいただき立ち上げて海洋問題を中心に書いてきた。 読者の多くの方は当方が海洋問題を研究していると勘違いされているようだ。 海洋問題は実務として…

Second Forum for India Pacific Island Countries (FIPIC) Summit

8月21日インドのジャヤプラでモディ首相が14の太平洋島嶼国首脳を招聘し、第2回インドー太平洋島嶼国サミットフォーラムが開催。昨年のモディ首相フィジー訪問時に島嶼国首脳を集めてのサミットに続く2回目となる。 「モディ首相、習国家主席のフィジー…

デジセルー矢内原ーアイルランド紀行

娘のご先祖様の一人であるLord Edward Fitzgeraldの墓参りも兼ねて来年アイルランド行きを計画している。 そこにカリブ諸島と南太平洋で展開する携帯電話会社デジセルの件を論文の中で書く事になり、オーナーのDenis O'Brien氏と経営哲学とアイルランドの歴…

パラオ海底通信ケーブル設置に向けた緊急提言

現在パラオは海底通信ケーブルに接続できるかどうか、即ちブロードバンドの環境が得られるかどうかで危機的状況に面している。 ADBは既に本件に対しローンを決定しているが、競争導入が条件となっている。 パラオ議会で緊急議案となっている背景には、昨年NE…

参議院での太平洋クロマグロ議論(4)

参議院での太平洋クロマグロ議論をビデオで一通り拝見した。 なんと言っても圧巻は平成27年07月07日の徳永議員と水産庁本川長官とのやりとりである。 本川長官 「・・・そういう意味では、全く効果がない数字であるというのは余りにも理解のない御主張ではな…