やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

昭和28年の竹島問題 水産委員会より

これもメモだけです。

日本の水産行政が複雑である、という、一端を見るような気がしています。

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第16回国会衆議院 水産委員会 第19号

昭和二十八年七月二十八日(火曜日)

○小高委員 ただいま下田条約局長の答弁によりますと、当然撤廃されてよいと思うというお言葉がございましたが、しかしながらという項において、国連軍の意思もあるということでございます。これは先ほど答弁中にもありましたが、積極的に本問題を日本政府から国連軍へ持ち込みまして、こういうようにやつてもらつてよろしいのであるというような、了解を得てもらいたいのであります。なぜならば、数十億円のさばの好漁場と言われております。ただいま朝鮮海峡において、数百隻の日本漁船が待機しておるこの事実を前にして、われわれは一刻も早くこの解決を希望しておるものであります。これは外務省当局の国連軍に対する意見の開陳を強く主張しておきます。

 次にもう一点、関連してお尋ねいたしたいのは、竹島の問題であります。この問題は、本国会においてもかなり大きく取上げられておるのであります。最近伝え聞くところによりますと、竹島に韓国軍が要塞を築く意向があるやにわれわれは聞いておるのでありますが、その仄聞がはたして事実であるかどうか。そのほかの情報によりますと、日本は竹島は日本の領土だということを強く主張しておるにもかかわらず、韓国においてはかなり積極的に竹島は韓国の領土だという、向うは向うの考え方のもとに、ぐんぐん手をゆるめずに竹島に侵略して来ておるということを聞いておるのでありまするが、それに対して外務省はどういう態度をとつておられるか、お尋ねいたします。

○下田政府委員 竹島の点につきましては、法律的に見まして、もう問題の余地がございません。これは古来日本の領土であつたのでありまして、また平和条約で韓国の独立を承認しましたが、独立を承認したということは、日韓合併前に韓国の領土でなかつたものまでくつつけて、新たに韓国の領土をふくらして独立することを認めたのではないのでありまして、合併前のそのままの韓国の独立を認めたのであります。

    〔川村委員長代理退席・委員長着席〕もう法律的には何ら疑問の余地がないと思うのであります。従いまして、先ほどお話のような領土紛争のごときは、国際裁判所の絶好の題目でありますので、日韓間の交渉がらちが明きません場合には、平和的な解決の方法の一つとして、国際裁判なんかも実は内々考えておる次第でございます。

○小高委員 これは海上警備隊なり、あるいは保安隊とか国家警察なりをして、強硬に日本から交渉、というよりも、むしろ法に基く行動をとつてさしつかえないのであるにもかかわらず、非常に軟弱卑屈なる外交を国民が非常に憤慨しておつて、その憤慨の意見がわれわれ水産委員会にびんびん反映して来るのであります。そこを私はついておるのでありまして、国際裁判に提訴してというよりも、そういうことをする必要がない事項に対して、何でそんなまわりくどく考えるか、ここを追究しておるのでありまするから、もう一ぺんお答え願いたい。

○下田政府委員 竹島に韓国人が参りまして漁業や海産物の採取をやることは、これは日本領土に対する不法入国の問題でございまして、不法入国の取締りの警察権を発動して一向かまわない問題なのであります。また日本の漁業者の利益が侵害されるということを防止するために、巡視船を派遣してその侵害を排除するということを行つて、法律上は一向さしつかえない問題であります。ただ日本として慎まなければならないことは、この領土権の紛争、領土権問題という国際問題を解決するために武力を行使するというこは、憲法第九条で、国際紛争の解決のために武力を行使しないということを規定しておりますので、警察権の取締り、すなわち不法入国者取締りという面で強制的措置に出ることは許されるものでありますが、竹島問題全体の国際紛争を解決するために武力を用いるということは、これは憲法が禁じておることでございます。そこで先ほど申しましたように、国際的紛争の解決手段としては、あくまでも平和的な手段によるべきであると存ずるのであります。

○小高委員 ただいまの御答弁によりますと、それでは蹂躙されて手を上げつぱなしで処置ないではないか。何のために完全独立したか、何のために本日まで苦しんだか、わが国の領土ではないか、それがはつきりしておるではないか、こういうことになりますと、これでは資源の確保いずこにありやということになりますので、私はただいまの御答弁を了承するわけには行きません。それほど遠慮しなければならない義理合いがどこにあるか、義理合いの根拠をさらに御答弁願いたい。

○下田政府委員 外務省といたしましては、見解ははつきりしておるのであります。不法入国者であるからこれを取締つて一向さしつかえない。漁業権侵害であるならば、巡視船の派遣等によつて取締つてさしつかえない。しかしそれを現実に行うのは外務省ではないのでありまして、外務省の意見ははつきりいたしております。入国管理局なりあるいは保安庁なり、それぞれの当局といたしましては、やはり現実の責任者としてお考えがあるのでありましよう。外務省の見解通りには行われていないようであります。

○松田(鐵)委員 関連して。下田条約局長のただいまの答弁まことに意外である。対馬壱岐に韓国人が上陸した場合にどうなるか、これを伺いたい。

○下田政府委員 二、三の韓国人が不法入国で夜陰ひそかに忍び込むという問題は、これは不法入国者の取締りであります。入国管理局がよろしく取締つて、収容所にぶち込むなり何なりしたらよろしい問題であります。

○松田(鐵)委員 白昼公然とあそこに漁船が来て、そうして対馬に堂々と上陸し、漁業を営むとしたらどうなりますか。

○下田政府委員 日本の領海までに入つて来て漁業を営むということは、日本の主権侵害でありまして、関係当局において即時有効な措置をとられんことを外務省としては希望するのであります。

○松田(鐵)委員 竹島は、ただいまのあなたの御答弁から行くと、日本の領土であるということははつきり申しております。ただ無人島、しかし日本の領土だということはただいまははつきり申しておる。壱岐対馬も日本の領土であることは韓国人といえども知つておる。しからば白昼堂々と壱岐対馬に彼らが漁業を営むなり何なりの目的のもとに上陸して来た場合においても同じ結果ではないか、この点に対する見解はどうか。

○下田政府委員 外務省としてはそのような不法な措置はすみやかに取締らなければならないと思うのであります。しかし外務省が現実の取締り官庁ではございません。取締り官庁の善処を要望する次第であります。

○松田(鐵)委員 外務省は取締りの官庁ではない。しかし日本政府としての外務省である。すべての問題は一貫して行かなければならない。憲法第九第を論議するから言うが、侵略の外敵に対して警察権をもつて備えるというのが現在の保安庁の行き方であります。軍備ではない、しからばフリゲートはどうだ、フリゲートも同様な結果によつて日本が今これを所有して使用しておる。和歌山県の水害のために使うということが規定されてあれを日本は持つておるのではない。黙つてあそこへ五そうなり十そうのフリゲートを置いておけば、韓国の艦艇は来ないでないか、そのくらいの考え方を持つて行かなかつたならば――あの李承晩の今日のやり方をみてごらんなさい。あなた方はどのように見ておるか、韓国との条約をしようなどというあなた方の現在の行き方であつたならば、李承晩になめられるでありましよう。この点はどうです。日本政府として、憲法第九条を考えるならば――その第九条ももうだんだん曲つて来おる。そこにおけるはつきりした行き方を持つて行かなければなりますまい。壱岐対馬竹島は同様に日本の領土である。この点に対して今あなたに答弁を求めたところで、これはしようがないのだ。もつとつと直剣に考えにならなければいけない。私は警告を発しておきます。

そして下記の議事録を読むと現在の在日韓国人問題にもつながっていく、ということだろうか。。

第023回国会 法務委員会 第3号

昭和三十年十二月八日(木曜日)

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/023/0488/02312080488003a.html