やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

米国の遺跡保護法ー111年目の改正か?

 

上記の連邦政府専門委員会のビデオは実質40分程度で見ていて面白かった!この後full houseに,そして senateに送られるらしいが、環境保護派とメディアを背後に抱える民主党の議事妨害は容易に想像がつく。

 

4月26日に大統領令としてサインされたAntiquties Act. (遺跡保護法)見直し作業。期限を3ヶ月と限り、7月には担当する内務省Zinke長官から見直しを提案する報告書がトランプ大統領に提出された。

 

<関係ブログ>

 

 

 

これらの作業受け、共和党、ユタ州のロブ・ビショップ議員が同法案の改正案を専門委員会に提出し10月11日に27対13で可決された。実は共和党に知り合いがいてこの問題の中心人物の一人なのでUNCLOS62条の件他、色々と情報を提供している。

国際海洋法やってよかった、というかここは坂元茂樹教授の御指導に感謝申し上げたい。

 

ビショップ議員の提案は同法案の条件を厳しくする事。すなわち過去4名の大統領が90年代から保護区を異常に拡張させたが、同法案の濫用を防ぐため、下記のような条件を付し、透明性を持たせる事を提案。

 

• 640-10,000 エーカー: 国家環境政策法と照合すること。

• 5,000-10,000 エーカー: 環境評価を行うこと。

• 10,000-85,000 エーカー: 地域の委員会、議員、知事の許可を得ること。

("Utah congressman's bill to curb monument designations clears committee hurdle"

By Amy Joi O'Donoghue, Oct. 11, 2017 https://www.deseretnews.com/article/900002117/rep-rob-bishops-reform-bill-on-antiquities-act-under-fire.html より)

 

つまり今まで地域のコンセンサスも得ず、環境評価もして来ないで広大な地域を保護区にしてたわけである。アレ?どこかで聞いた話。パラオやキリバスのメガ海洋保護区である。

今回の米国の動きは、メガ海洋保護区を拡大しようとするPEWに代表される環境NGO(科学的知識が薄い)の動きや、公海までも保護区制定を検討しているBBNJの議論にも関係して来るのではないだろうかと想像しフォローしている。多分日本では私しか追っていないかもしれない。

すでにパラオの政府関係者には今回の動きを伝えてあるし、今後とも米国の知り合いには科学や、国際法上の議論、そして何よりも海洋保護区を租税回避の金融商品としようとしている動き(元祖はチャールズ皇太子である!)を伝えて行きたい。

 

<その他関係資料:>

October 10, 2017

Contact: Randi Spivak, (310) 779-4894, rspivak@biologicaldiversity.org

Rep. Bishop Introduces Bill to Overturn Antiquities Act, Threaten Public Lands

http://www.biologicaldiversity.org/news/press_releases/2017/public-lands-10-10-2017.php

 

House committee to consider Antiquities Act overhaul

BY DEVIN HENRY - 10/09/17

http://thehill.com/policy/energy-environment/354604-house-committee-to-consider-antiquities-act-overhaul

 

 

これがユタ州、ビショップ議員の修正案。

https://naturalresources.house.gov/uploadedfiles/hr_3990.pdf

 

Bishop Statement on Antiquities Act Reform Bill

https://naturalresources.house.gov/newsroom/documentsingle.aspx?DocumentID=403085