やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

山本草二先生の国家管轄論

矢内原や新渡戸の植民論は、できれば触れたいが、そんなに今書いている博論の重要部分ではないので、どんどん読めてどんどんこのブログにメモできる。

しかし、博論関係となると筆が進まない。パソコン叩くのが進まない。思いっきり躊躇してしまう。

博論で扱うBBNJのNJの部分、即ち国家管轄権に関しては山本草二先生のペーパーを既に読みメモだけでもと思って机の上にずっと置いてあってそのままだった。

何を読んだか、だけ書いておきたい。

この1年、国際法の論文を色々読んでいるが、山本先生の論文はわかりやすいし、何か小説を読んでいるようなワクワク感がある。難易度は他の論文以上なのだと思うが、トリデシャス条約からグロチウスの海洋の自由、それに対抗した英国のセルデン海洋論。そしてパルドー、現在の海洋法と、海洋の空間秩序が目の前に現れてきた感じがする。兼原先生が海洋法を生きた条約、と言われるのがよくわかるのだ。

領有権ではない、管轄権とは何かを理解していないとBBNJの研究なんてできないのであろう。

と余計な事をかいて恥を書かないよう山本草二先生の国家管轄権に関する文献のリストアップだけしておきたい。

これから読む資料

本草二、第二部三章以下「国家管轄権の機能と限界」『国際法有斐閣、1985

本草二、宇宙3条約の締結の承認、ジュリスト 1983年7月15日号(No.795)

本草二、「領域・空間の管轄と利用」岩波講座基本法学3 岩波書店/1983.9 芦部信喜編、83ー128頁

本草二、 「国家管轄権の域外適用」、ジュリスト、1983年

一読したもの

本草二、「国際漁業紛争と法」、玉川大学出版部、昭和51年、東京

本草二、「排他的漁業権概念の歴史的展開」、「国際行政法の存立基盤」(初出:「国際法外交雑誌」第58巻、1959年、第3号232-264頁、第4号391-418頁)

本草二、「セルデン海洋論の実証的根拠」、「国際行政法の存立基盤」、(初出:熊本大学法文論叢第7号(法科篇)1955年10月、32-34頁)

本草二、「中世海洋国際法概念とその変容―トル デシラス条約(1494年)の成立をめぐって」熊本大学法文論叢第9号(法科篇) 1957年11月、42-54頁