やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

<東亜の解放>『東京裁判日本の弁明』「却下未提出弁護側資料」抜粋 小堀桂一郎編

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小堀桂一郎編『東京裁判日本の弁明』「却下未提出弁護側資料」抜粋 (講談社、1995年)の清瀬弁護人の陳述に<東亜の解放>についても弁明されているのでメモだけしておきたい。手元にあるのは文庫本だ。

 

72頁 ぺリーの来訪で日本の国家主権、自主権が侵犯された。よって日本国家の地位の向上が理想であった。

 

72−73頁 西洋諸国による人種差別に対し、日本、東亜は修養教養を高める必要があり、他方で東亜固有の文化を保持、醇化 することで西洋と同じ水準にし差別をなくすことに日本が貢献したかった。しかし日本のある言論人は表現に誇張があった。

 

74頁 日本外交は東亜安定を目的とし、侵略ではない。日英同盟はこのために締結され、日露戦争は米国に評価されたではないか。

 

75頁 中でも中国の安定は日本の望みであった。孫文、蒋介石を支援して来たのは日本である。

 

75−76頁 日独伊の共謀はありえない。三国同盟は防共協定であった。

 

76−77頁 「八紘一宇」の意味は「全世界人類が一家族中の兄弟姉妹と同一の心持を持って、交際するという意味」世界同胞主義、ユニバーサル・ブラザフッド。(これそのまま笹川良一さんとジョンレノンのイマジンではないか)

 

77頁 東亜新秩序は善隣友好、共同防共、経済提携、で日支経済関係において日本は経済的独占を行わない。(矢内原の台湾に関する研究では、三井が独占体制を強化していた)

 

79−78頁 1943年11月に東京で開催された大東亜会議の共同宣言、綱領五箇条が紹介されている。

 

1937年12月、軍部を批判した矢内原を葬った近衛政権の蠟山による東亜秩序を若干知っている当方とにとっては無理のある弁明に読める。小堀先生のこの本と同時に芦田均の『第二次世界大戦外交史』を図書館で借りた。ここに大東亜共栄圏に関する一章があるので、次はこれをまとめたい。