やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

河野外相と海上自衛隊護衛艦やまぎりブルネイ訪問

河野外相のツイッター、ブログの発信から眼が離せない。

特に安倍政権の外交政策なのではないか、と思える小国への対応が気になっている。

 

河野外相、昨日海上自衛隊護衛艦やまぎりと共にブルネイを訪問されたのだ。

私は、90年代、シアップインターナショナル(秋篠宮妃殿下も参加された内閣府の青少年事業事後組織)の事務総長をしていたのでブルネイには10回は行っている。

ブルネイはアセアンの中で小国ながら資源管理がうまくいっていて一番豊かな国である。国民も一見幸せそうだ。そこには旧宗主国の英国と資源を管理するシェル石油会社の存在がある。そしてハサナル・ボルキア国王の強いリーダーシップ。

 

資源をもった小国が成功した例として世界でも特殊ではないか?小国が資源を持っても開発できないか、政治が汚職まみれになるか。。

 

今回の河野外相と海上自衛隊護衛艦やまぎりのブルネイ訪問の背景には中国の進出があるようだ。

海上自衛隊がこのような戦略を持っているとは知らなかった。素晴らしい。

太平洋島嶼国にもどんどん出て行って欲しい。下地は2008年から私が作ってある。

 

2018.2.12 00:12

河野太郎外相、ブルネイ寄港の自衛隊視察 海自「戦略的寄港」強化で中国のインド太平洋港湾施設開発→軍事利用牽制

http://www.sankei.com/politics/news/180212/plt1802120004-n1.html

 

自衛隊は中国の経済圏構想「一帯一路」のもとで開発が進む港湾施設への立ち寄りを強化している。

同行の外務省幹部は「海自艦艇が入れるのかどうか、いろんな機会に試していくのは大事だ」と語る。

 

ブルネイに中国が入ったのは昨年のようだ。港を押さえる、というのは中国の戦略なのだ。

2017年2月、ブルネイの政府系投資会社ダルサラーム・アセッツと中国企業の広西北部湾港の合弁会社がブルネイ最大の港湾コンテナターミナルの運営を開始した、のである。

 

ブルネイ最大のコンテナターミナル、中国との合弁企業が運営開始

https://jp.reuters.com/article/china-shipping-idJPKBN1610AG

 

ブルネイの友人達が、資源が石油がなくなるのは25年先だと、90年代に言っていたのを思い出した。まさに今25年を目の前にしている。

ハサナル・ボルキア国王は71歳になられた。ブルネイ訪問時に国王の操縦する飛行機が離陸するまで、私の乗った飛行機が足止めをくらった事がある。国王は40台だったのだ。

 

<関連資料>

この資料面白い。イギリスは随分搾取したのであろう。

「実は筆者が経済開発専門家として赴任した 1984 年に、政府の経済計画をつくる担当の人と話していて、彼らが石油に関するデータを何も持っていないことに大きな驚きを持った。政府の開発計画担当者は石油生産量・価格について何も知らない。つまり、石油生産に関してはシェルに全部任せ切りなわけであった。1990 年代に入ってからやっと政府の中に石油政策を議論する委員会ができた。」

ブルネイ・ダルサラーム国

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/p121-136.pdf