やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』

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カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』生松 敬三 (翻訳), 前野 光弘 (翻訳)、慈学社出版、2006年。

 

 1942年、第二次世界大戦の最中に出版された本である。

 扉の頁には「わが娘マニアに語る」と書かれているが1942年、シュミットの一人娘のマニアは10歳だ。(1931−1983年)10歳の子供には難しい内容のように思う。もしかしたら、シュミットが死を予期して娘に残したのかもしれない。そうであれば、52歳で亡くなった娘よりシュミット(1888年ー1985年)は2年長生きしている。

 96年の人生。一体どんな人生を歩んだ学者なのか?

 この本との出会いだが、実は「法哲学」を真面目に学ぼうというつもりでなく、知り合いから、同志社大学の法学部に行くのであれば、アイザイア・バーリンの自由論を研究している濱真一郎先生がいるから授業を受けてみなさい、アドバイスを受けたのがきかっけだ。

 幸か不幸か生徒は2人しかいなく、濱真一郎先生からはカール・シュミットの『陸と海と 世界史的一考察』と『大地のノモス』を示され、読んでみてできたら発表を、という事であった。

 海洋法関連の資料を読むだけで手一杯なの辞退するつもりだったが、海洋法を知る上で、また国際法とは何かを知る上で、カール・シュミットとおこの本はもしや外せないのでは、と読みながら思って挑戦する事とした。

 なによりも、ナチスにも荷担したというカール・シュミットの生涯を、このブログにも何度かに分けて紹介した『アメリカ知識人と極東 ラティモアとその時代』を書かれた長尾龍一教授が書いているではないか。長尾教授はそもそも法哲学専門で、しかもシュミットがご専門だったのだ。『カール・シュミットの死』というタイトルの短い論文を書かれている。

 そこで、まずは自分用のメモとして、また数週間後に迫っている濱真一郎先生の授業の発表資料として下記の順序でこのブログにまとめておきたい。

 

カール・シュミットとは?長尾龍一著『カール・シュミットの死』から

『陸と海と 世界史的一考察』 概要 2−3回に分けて。

できれば1950年に出版された『大地のノモス』から海洋の自由と、国際連盟の項もまとめてみたい。