カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』生松敬三 (翻訳), 前野光弘 (翻訳)、慈学社出版、2006年。
1942年にシュミットが一人娘アニマに語る、として書いたこの本を3回読んだ。
最初はヨーロッパ中心の偏見に充ちた文章と感じたが、国際法自体がヨーロッパの遺産でありこのシュミットの視点は重要だと考え直したら2回目は興味を持って読めた。その後長尾龍一教授の「カール・シュミットの死」を読んでから3回目を読んだが、シュミットの立ち位置が何となくわかって、また違う味わいがあった。
書きのGiorgi Tavadzeによると、この『陸と海と 世界史的一考察』は5つの分野に要約できる。この中で国際法が生まれてきたのである。
1.陸と海の対立。
2.空間革命。
3.陸と海の対立を背景としたカトリックとプロテスタントの対立。
4.産業革命と社会の進展。
5.新たな地平線、空間を探求する人間の選択能力。
Giorgi Tavadze, Assistant Professor, Grigol Robakidze University, Tbilisi, Georgia, LAND AND SEA: CARL SCHMITT’S PHILOSOPHICAL GEOGRAPHY. p. 44-53. European Scientific Journal July 2013 /SPECIAL/ edition
http://eujournal.org/index.php/esj/article/viewFile/1615/1618
目次は興味深い事に数字が1から20まで振ってあるだけで、その内容はわからない。
ドイツ語の原文は確認していないが和訳にないということは原文にもないのではないか?全体を確認する時に便利だと思うので、シュミットに怒られそうだが、各目次の番号にその内容をメモしてみた。
1. 陸の生物としてのヨーロッパ人
2. エレメントと選択の自由(移民、植民)
3. 海対陸 ヴェネチア
4. 内海としてのヴェネチア
5. 鯨と大洋
6. 英国対仏国と阿蘭陀
7. 海賊と英国
8. エリザベス女王とキリグルー
10. 空間革命と世界認識
11. 法学者の誕生
12. 16-17世紀の空間革命(丸い地球と宇宙の発見)
14. ローマ教皇の世界分割、そしてプロテスタントとカトリックの対立へ
16. 海の独占的支配−リヴァイアサン(英国)の支配
17. 海洋世界帝国としての英国
19. マハンー保守的欲求と地政学的安全を求めて
20. 新たなノモス−空気と火。尺度と調和
次回、概要をまとめます。できるかな?