やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

パラオの観光に異変

パラオのGDPの約半分に当たる70億円位の収入が観光に寄るものだ。 観光で生きているパラオ。そのパラオの観光に異変がおきている。 <中国大陸からの観光客激増> 2001年には44,454人だった観光客は順調に増えて2013年には約2倍の101,546人となっている。 …

Global Ocean is Swarming with Money 海洋に群がる大金 (2)

<想像を超えるチャイナマネー> 当方の中国に関する認識は主に笹川陽平のブログに頼っている。その中でも官僚の汚職の規模をリストにされているのだが、この金額がすごい。 約30年間で外国に逃亡した汚職幹部は約4000人。着服金総額は約500億ドル(約4兆400…

自由連合、おさらい

戦後70周年記念や、天皇皇后両陛下のパラオ訪問が近づいているからであろうか、「自由連合協定」のキーワードでこのブログをたどり着く人が多いようだ。 ばらばらに書いてあるので、ここでおさらいしておきたい。 現在ミクロネシア3国と米国、そしてクッ…

島サミットの流れを変えた第6回

笹川陽平に「早川に聞け」と言われて連絡をくださった、外務省大洋州課課長がもう一人いる。 飯田慎一氏である。お会いした事はない。白山のレストランで奢ってもらってはないが、ちゃんと事後報告してくださり、この方も官僚に珍しく礼儀のある方で、感謝し…

矢内原忠雄を読む 蝋山政道の南洋統治論批判

とうとう矢内原忠雄全集の植民地政策を扱った1−5巻を購入してしまった。 やはり線を引きたいし、コメントを書き残しておきたい。 何よりも矢内原先生の文章は難しくて何度も読み返す必要があるのだ。新渡戸先生の文章は明解なのに、なんで矢内原先生はこん…

Global Ocean is Swarming with Money 海洋に群がる大金

PEWのプロパガンダネットワーク <PEW - プロパガンダ組織> 世界の海洋環境NGO PEWがプロパガンダ組織である事は、以前から聞いていた。 2008年にミクロネシア海洋安全保障事業が開始してから実際ににPEWと付き合ってみると、だんだんと確信をもってそうで…

元祖島サミットー小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めた理由

戦後70周年や天皇皇后陛下パラオ訪問のせいか、このブログを多くの方達、特にマスメディア、学者、外務官僚が読んでいただいているようで、最近問い合わせが多い。 太平洋の小さな島々や、笹川平和財団に関心を持っていただく事は嬉しい事である。 前回書…

ミクロネシア協定署名について記事資料

マスメディアからの取材が続いているが、やり取りの中でこちらが情報をもらえる事もある。 日本のミクロネシアへの戦後賠償、知らなかった。 ググったら下記の協定をみつけた。日米で夫々5MUSDをミクロネシアに拠出。 英文もあった。和文と比較して読むとな…

ミクロネシア連邦日本漁船拿捕は国内問題?

(当初の原稿から修正があります。青字の箇所です。) 先週の " target="_blank">読売新聞の記事が出てから、このブログへのアクセスが相変わらず通常より、2倍3倍になっているし、メディアや、水産専門家、そして何よりも羽生会長からも照会があって、こ…

小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めると、大洋州課課長からフレンチをおごってもらえる話

風が吹けば桶屋がもうかるような話である。 今年5月に第7回目の開催が予定されている太平洋島サミット。 1997年の初回は橋本内閣の時で、やったかやらなかったのかわからないような扱いであった。 2回目はすごかった。なぜか? 小渕総理がこの2回目の島…

号外 カジノ法案上院否決

号外 カジノ法案上院否決 日本の事ではない。パラオの話です。 昨年11月に11対1の圧倒的多数で下院の支持を得たカジノ法案。 年明け1月14日、上院で圧倒的多数3対一で即刻否決された。 この結果がパラオにとって吉か凶は判断が別れるところ。 否決した上…

違法操業監視は金のためか?海洋資源のためか?

これがヤップの違法操業。同じベトナム船がパラオでも徘徊している。 入漁料を払った日本漁船と違って、これらの船は登録もしていないし、お金もないし、ピストルやダイナマイトまで持っている。日本の水産庁と違って母国(ベトナム)知らん顔。 拿捕しても…

日本が、日本の漁業が悪者になっていく経緯

前回書いたミクロネシアでの日本漁船拿捕の件は昨日も多くのアクセスがあったし、その分野の専門家からコメントもいただいた。 ソーシャルメディアのコメントを見ても私より現状をわかっていない日本人がいるので、私も素人だがここに書いておきたい。 まず…

日本カツオ漁船、相次ぎ拿捕され解放に3億円

ここ数時間、すごい勢いでブログにアクセスがあるので何事かとググったら下記のニュースが原因のようだ。 日本カツオ漁船、相次ぎ拿捕され解放に3億円 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/national/20150112-OYT1T50018.html?fr…

矢内原忠雄著『南洋群島の研究』を読む(2)

西洋諸国の植民地支配に島の人々は無抵抗だったわけではない。 スペインとポルトガルが、神の名において、地球をまっ二つに割り、(トリデシリャス条約、その後地球が丸い事を知り追加されたのがサラゴザ条約)ミクロネシア諸島はスペイン領となった。幸い、…

山の人生

ふと回したチャンネルで大学生が大学生をインタビューして作るドキュメンタリーのような番組を観た。NHKだった。 随分前の番組だが、未だに思い出してその学生さんはどうなったであろう?と時々知りたくなる。 その番組は、東大に入学したばかりの男子学生が…

125th anniversary of Japan and Palau

During the last visit of President Remengesau of Palau to Japan in December 2014, he repeated that Japan and Palau has more than 20 years of diplomatic history, which started before the WWII. I believe that he meant WWI, when Japan was ask…

矢内原忠雄著『南洋群島の研究』を読む(1)

1935年に出版された矢内原忠雄の『南洋群島の研究』を読んでいる。 先般訪日したパラオ大統領が「日本とパラオは、国交20周年を迎えるが、戦争以前から関係があった。」と安倍総理との会談、記者会見等で繰り返し述べていた。 大統領の言う「戦争」とはWWI…

年末の読書『宿命の子』(2)

『宿命の子』には役所との関係が書かれている。 外務省事務次官の柳井俊二氏の対応が書かれている。 「それで陽平は張成沢との交渉の中身を伝えたが、「ほう、そうですか」のひとことで済まされた。柳井の態度は、困惑というより冷淡で、不吉な予感に陽平は…

天皇陛下のご感想(新年に当たり)

謹賀新年 今年もよろしくお願い致します。 天皇陛下のご感想(新年に当たり):平成27年 - 宮内庁 を発表されているのを初めて知った。今年は戦後70周年の事について、述べられている。 ”本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くな…